京都府副知事の挨拶に続き金坂教授の基調講演が約1時間ありました。
講演は、日本における公衆浴場の歴史的成り立ちや、世界各国に見る公衆浴場のお話から、都市施設や都市景観としての公衆浴場のお話など多岐に渡りました。
お話の内容は銭湯でしたが、現代の日本の抱える精神的な閉塞感や脆弱化した日本社会を危惧されており、その再生の切り口として公衆浴場とその文化を再認識してみましょうという内容でした。
ちなみに、金坂教授の実家は大阪で銭湯をされていたそうです。
続いて小休止を挟み、パネルディスカッションが1時間半ほどありました。
最初に各パネラーが「私と銭湯の関わり」について語られました。
町田氏
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24年で2000軒以上を回った。
きっかけは外国人の友人に、宮造りの銭湯が何故お寺の形をしているのか説明できなかったことから。
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鵜飼氏
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大衆演劇一座について旅をするときは、駅前旅館に泊まり、食堂で定食を食べ、銭湯に入る。
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小中氏
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昭和40年頃の銭湯が最盛期だった時期には、京都府に約600軒の銭湯があった。それが現在は280
軒という現状。
山科湯のご主人です。
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次の話題は「銭湯の魅力について」でした。
個人的には、この話題が一番面白く感じました。
町田氏
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「浮き世の垢を洗い流す」といういい方で、体をきれいにするという目的以外にリラックスの場であり、非日常空間の場であり、視覚的遊びを楽しめると語っておられました。
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鵜飼氏
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変な意味ではなく同性の裸を見る場として捉え、みんなが同じでみんなが違うことを認識できる。
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大場氏
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京都は日本で一番銭湯が残っている町といっても過言ではない。
錦湯の事例を挙げ、地域に根付いた多目的利用の可能性を秘めている施設だ。
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ムンジオリ氏
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地域の人との出会いの場、地域に溶け込む場である。
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小中氏
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42℃の定温の保っている点や湯量の多さ、マイナスイオンが多いなど家庭風呂より温まる。
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次に水環境と公衆浴場について
鵜飼氏
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見る見られる関係の中で水に対する理解が深まる。
水との付き合い方が分かるようになる。
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大場氏
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歴史的事例として水事情の悪い滋賀県長浜を例に、内風呂と銭湯の共生は可能で銭湯の衰退はかならずしも内風呂の普及のせいではない。
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町田氏
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排水の余熱利用などもともと水環境に優しい施設である。
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小中氏
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現在約8割の銭湯が地下水利用である。
一人当たりの水使用量を概算しても銭湯の方が家庭より少ない。
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最後に課題と今後の銭湯に望むこと
大場氏
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京都は洋館型、町家型、唐破風造りなど伝統的なものが多く残っている。
観光客も街中を見たり体験したいニーズが増えてきた。
文化施設としての銭湯を情報発信すべき。
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町田氏
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積極的なPRが必要。
空き時間(開店前)の多目的利用。
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鵜飼氏
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集客施設として再生を。
都市計画に銭湯を組み込んでいってはどうか。
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ムンジオリ氏
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若い人を惹きつける施設にしょう。
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小中氏
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スーパー銭湯が昨年は5施設オープン。共存共栄を計る。
お年寄りの健康チェックなど福祉、健康の施設として利用を考える。
子供の利用促進。
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最後は時間切れで、十分に今後の再生策についての話がなかった点が残念でした。
最後質疑応答の中で、ある銭湯経営者の方が地域の子供に毎年無料招待券を配布している取り組みについて報告されました。
700枚ほど配られるらしいですが、利用するのは25%程度だそうです。
さてさて、概要はだいぶはしょりましたがこの辺にして、入浴記ならぬフォーラム入場記をどうぞ。
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