今治
ラヂウム温泉

今治市共栄町2−9 営業時間:14:00〜22:30 定休日:月曜日
JR今治駅下車 徒歩約15分 

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2006/06/14 17:00

 

 

 

 

 「廿世紀銭湯写真集」にも取り上げられていた今治ラジウム温泉。今治は、戦時中の空襲でほとんど焼け野原になったそうですが、今治ラジウム温泉は奇跡的に被害を免れた建物のひとつで、お城のような外観は街中でも異彩を放っています。
 開業当時は1階が銭湯、2階がダンスホールだったそうですが、現在は2階にはバレエ教室が入り、3階は昭和40年代に増築された「青雲閣」というビジネスホテルになっています。
 今治で取材仕事が入り、日帰り予定だったのですが、ここは青雲閣に泊まっとくべきでしょう。1泊シングル税込み4000円。風呂入り放題! 部屋にはバストイレはなく、銭湯が22:30に閉まるのが難点ですが、快適性を求めて泊まってる訳じゃありません。そんなことは、いーんです。

  銭湯の脇にあるホテルの入り口を入ると、「宿泊客は銭湯のフロントへ」という貼り紙。銭湯のフロントで宿泊費を払い、3階へ。エレベータなんてありません。階段でテクテク。部屋は画像の通りです。テレビ無料、エアコンつき(海の家みたいな表現だ)。
 まあ、そんなことはさておき早速お風呂へ。部屋には、洗面器に石鹸、シャンプーが用意されていて、それを持って階下におります。フロントでロッカーの鍵を渡されるのが、スー銭方式。基本的には、改装されていますが、天井や基本的な造りは昔のまま。コンクリートの梁が、むき出しになっているあたりは京都の正面湯を彷彿させます。脱衣場の窓が開け放たれ、駐車場から丸見えなのは、諏訪片倉館の浴室を思い出させました。
 浴室は、開放感のある8角形のドーム天井で、中央部に深風呂(高温風呂)、浅風呂(低温風呂)、電気風呂(おそらく史上最弱)、ジェット風呂がかたまり、周りにバスフレンドの入ったあわ寝風呂、水風呂、5人ほど入れる乾式サウナという構成。あっ、入り口近くにかかり湯槽とシャワーブースも。乾式サウナには「本格サウナ」の表示があり泣かせます。蒸気浴(スチームサウナ)と屋外の露天風呂&打たせ湯は休止中なのが、ちと残念。
 いやー、でも明るいうちに入るお風呂屋さんは、気持ちいいなあ。
 風呂上りにコーヒー牛乳をグビッと飲み、いざ今治の街へ繰り出すのでありました。
(この入浴記は、お風呂屋さん的京都案内初!現地の青雲閣の部屋で深夜いそいそと書いています。)

 

青雲閣のお部屋。寝るだけなら十分でしょう。

部屋には洗面器や石鹸など、お風呂セットが完備されていました。

階段を登るとピアノとリズミカルな掛け声が聞こえてきました。

脱衣場の浴室入口。アーチ状のデザイン。

浴室の天井はドームになっています。中央に湯気抜きが。

浴室ドームを外から見たところ。煙突はレンガ積みです。

浴室内部。お風呂は全て改装されています。

脱衣場にはのんびりした空気が漂います。

アナログ体重計には「昭和四六年六月一四日創立者村上寛造之命日求立(?)とあります。

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


シキシマ湯

今治市共栄町1−4−9 営業時間:14:30〜21:00(日16:00〜20:00) 定休日:不定休
JR今治駅下車 徒歩約15分 

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2006/06/14 20:30

 

 

 

 

 今治ラジウム温泉でひと風呂浴びてから今治の街へ。まずは徒歩圏内にある銭湯探索。今治は、電話帳で検索すると15軒の銭湯がヒットします。地方都市としては、残っている方ですね。
 1軒目は、今治ラジウム温泉から海側に行ったところにある(はずだった)恵比須湯へ。建物はあり、入り口には「サウナ新装しました」の看板。しかし、暖簾は掛かっておらず、定休日かな?と思い、となりのお店に聞くと3年ほど前に閉まったままとのこと。遅かったか・・・。
 2軒目は、恵比須湯から北西に200mほど行ったところの本町温泉。こちらは3階建てのビル銭でなかなかの盛況ぶり。
 3軒目は、本町温泉と同じ道路沿いにある大黒湯。こちらも暖簾が掛かっていて営業中。隣の駐車場には山のように廃材が積まれ、フォークリフトで廃材を移動させておられました。
 4軒目は、今治銀座というアーケード街のすぐ近くにあるシキシマ湯へ。なぜ表記がカタカナかと申しますと、前日ネットの電話帳で調べたら屋号ではなく個人名で出ていたのです。晩御飯を食べに入った餃子屋さんで話しを聞いて「シキシマ湯」という名前が判明しました。屋号の看板も掛かっていません。
 こちらは夕方、営業時間を確認しておいて、夕食後に入りに行きました。

←残念ながら2,3年前から休業していた恵比須湯。見た目に古さはあまり感じません。惜しい。

→こちらはビル型銭湯の本町温泉。
今治は京都型の暖簾が多いですね。

←大黒湯。番台の裏側がアールになっていてキュートです。

←水曜午後五時半の今治銀座。あとから、私が訪れた水曜日は定休のところが多いと聞きましたが、見事なシャッター通り。

→ラヂウム温泉とシキシマ湯のちょうどまん中にある餃子の「白雅」。オススメです。



 夕方もそうだったように、ご主人は番台脇の男湯側で足を組みながら寝転がっておられる姿勢。暖簾をくぐると起き上がられました。(道路から見えてるっちゅうねん)
 愛媛料金330円を払って、脱衣場に入ると漢数字の古いロッカーと新しいロッカーが入り混じっています。古いロッカーが32個。新しいロッカーが30個。規模にしたらロッカーが異常にたくさんあります。床はフローリングなのですが、パイン材のような新しい感じのもので、ご主人に聞くと十年ぐらい前に改装されたらしく、ロッカーは捨てるのがもったいなかったので、古いのも残しているとのこと。
 この建物は外から見てると気づきませんが、鉄筋コンクリート製です。一帯は戦争で焼けたそうですので、戦後の築だそうですが、いつ頃のものかはわからないとのこと。ご主人の父親からやっていると話されていました。
 脱衣場は至ってシンプルで、中央にベンチとヤマトのアナログ体重計。古いロッカーの上に小さなテレビがあるくらいです。
 浴室は、中央に主浴槽がある四方風呂の形。浴槽の周りには、踏み込みと呼べるほどの段差はありませんが、タイルで段差が付いています。奥男女壁側にもうひとつ副浴槽がありますが、使用されていませんでした。
 この浴室の特徴ですが、個人的にお勧めはタイル使い。床の溝の縁取りが非常にキュートです。浴槽の縁も細かいタイルでアール付。そして、副浴槽の上に「鯉の滝のぼり」(推定90×120cm)、右の壁には「岬に灯台」(推定120×90cm)のモザイクタイル絵があります。タイルマニア推奨銭湯です。
 面白いのは、カランの位置で、普通のカランもあるのですが、半数ほどは腰の高さぐらいにカランがあり、その下に洗面器台があるという造り。ご主人は「昔はみんなそんな感じやった」とおっしゃっていましたが、京都では全く見かけない造りです。
 浴室の天井は、かまぼこ状で中央に長方形の湯気抜き。湯気抜きはすぐに波板とたんが見え、高さはほとんどない造りでした。浴室も鉄筋コンクリート造りで、天井を支えるための柱が、男女壁から2本建っています。
 この銭湯のタイルは写真に取りたいと思ったのですが、ご主人からNGのお言葉。画像でお見せできないのが残念ですが、今治にお出かけの際はぜひ一度。


 夕食をどうしようかと思い、書店に入ったのですが、るるぶによれば、今治は人口当たりの焼き鳥屋が日本一多いのだとか。試しに一軒入りましたが、ほとんどがたれ焼きです。皮とせせりを注文したのですが、皮は串に刺さずに鉄板焼き状態にし、たれを掛けて出てきました。たれは店によって違うのでしょうが、かなり甘みの強いもの。言えば塩焼きにもしてもらえるそうですが、たれ焼きが今治スタンダードのようです。
 早々に焼き鳥屋を切り上げ、気になった餃子屋「白雅」へ。こちらは昭和33年から続くお店だそうで、現在のご主人は2代目。メニューは、焼き餃子、水餃子、冷麺(もう一品失念。たしかクラゲの酢の物。お酒は中国酒が揃っています)ぐらいで、しかも値段はすべて420円。焼き餃子は、野菜たっぷりのあっさりとした感じでした。仕上げに食べた冷麺は、非常にコストパフォーマンスの高い一品。冷やし中華の風情で美味でした。ご主人によれば、昼間は12:00から1時間だけの営業なのだとか。今治に来たら、再訪したい一軒です。

 このあと青雲閣に戻り、テレビをつけながら横になっていたらいつの間にか寝てしまいました。気がつけば22:30。あーーーーー!ラジウム温泉は22:30まで。こうして2度目のラジウム温泉は入り損ねてしまったのでした。
 しかも無理なスケジュールで泊まってしまったため、翌朝は雨の中6:51今治発の電車で帰路につかなくてはいけないのでありました。

 

 

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>

 


 

不老泉

別府市中央町7-16  営業時間:6:30〜22:30 
定休日:年末大掃除日(不定) 入浴料金:100円

JR「別府」下車 徒歩5分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2003/04/03 7:00

 別府は人口13万人ほどの町ですが、そこに温泉の源泉が3000カ所あるといわれ、湧出量は一日約13万klというまさに日本一の温泉天国です。町の人にも深く根付いた温泉を垣間見るのに、町の共同浴場を回ります。

 別府には市営浴場が17カ所あるのですが、別府駅を中心とした別府温泉に8カ所あります。その中でも駅から最も近いのが不老泉です。朝の6時に大分港にフェリーで到着後、JRですぐに別府に移動し、朝湯を浴びに行きました。
 駅から歩いて五分ほどのところにあり、ぱっと見は公民館のようです。それもそのはず、一階が温泉、2階が地区の公民館、3階が集会室になっています。さらに前の広場はゲートボール場という地域に根付いた温泉浴場です。広場横の桜はまさに今が満開といった状態で、はらはらと散る姿がステキでした。
 一階入口を入ると、昔の駅の待合室を思わせるようなロビーがあり、中央に受付があります。お願いしますと言って、料金の100円を出すと、おばちゃんが張り紙を指さし「今日はただです」とのこと。別府は4月1日から7日まで温泉まつりが開催されていて、市営浴場の内7浴場が無料開放されていたのです。なんていいときに来たんでしょう!
 受付横の暖簾をくぐると、三和土に続いて板張りの広い脱衣場があります。壁側に木製の棚、逆側は格子状になっていて半地下になった浴室が見えるようになっています。平日朝の7時という時間帯、お客さんは地元の常連さんが4,5人といった感じです。早速階段を下り、浴室の方へ。お湯はほぼ無色透明で、浴室中央の大きな浴槽になみなみと溢れています。掛かり湯をして浴槽へとはやる心を抑えますが、まず足にお湯を掛けるとかなりの熱さです。44〜45℃ぐらいありそうです。この1年、お風呂屋さんで熱いお湯には結構慣れたつもりでしたが、全く歯が立ちません。浴槽淵に腰掛けしばらく足だけをつけて、精神を集中したところでゆっくり浸かりました。近くの方が洗面器でお湯を汲まれるときに、お湯が揺れるだけで熱さがビンビンきます。その様子をどうも近くにおられた地元の方に一部始終見られていたようです。「あんたらにはよう入れんじゃろ。あそこの水道でうめたらええ(多分こんな感じでした)」と声を掛けてくださいました。なんていい人なんだろう。お言葉に甘え、水道でうめて入らせて頂きました。お湯は柔らかないいお湯です。おっちゃん曰く、「わしらでも熱い」とおっしゃってました。そのおっちゃんに馬鹿な質問をしてしまいました。「家の風呂には入らないんですか?」我ながら間抜けな質問ですが、雨の日以外は入らないという答えでした。内風呂の普及で銭湯は衰退したと言われますが、ここ別府では内風呂と共同浴場が立派に共存しています。
 おっと!いつものように浴室の様子もレポートしておきます。
 写真にあるように、浴室の奥はアールがついていて、ほとんど全面窓になっています。壁はチェック柄になっていますが、これは細かいモザイクタイルでデザインされたものです。建物自体は鉄筋コンクリート造りですが、天井には細長い湯気抜きの構造も造られていました。カランは一応両側に4カ所づつ8カ所あるのですが、誰も使っていません。みんな浴槽から汲んで、体を洗ったり、髪の毛を洗ったりしていました。また階段側のカランは、水専用のものでした。
 別府でまず訪れた不老泉。地元の方にもやさしくしてもらい、さい先のいい1湯目でした。

泉質:単純温泉
効能:神経痛・筋肉痛・関節痛・慢性消化器病・疲労回復など
源泉温度:48.8℃
方式:かけ流し

 

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


ちょっと一休み。
臼杵の風景をお楽しみ下さい。

←二王座の辺りの町並み。
 石垣と瓦屋根がきれいです。

江戸時代に建てられた龍原寺三重塔→

臼杵城趾(臼杵公園)の桜→
高台にあり臼杵の街も見渡せます 

←鉄橋の下に菜の花が群生してました

臼杵石仏周辺の里山風景→

←平安後期から鎌倉時代にかけて彫られた臼杵磨崖仏群。
磨崖仏としては国宝初指定。

臼杵石仏に向かう途中の風景→




竹瓦温泉

別府市元町16-23  営業時間:普通浴6:30〜22:30/砂湯 8:00〜22:30 
定休日:普通浴=12月第3水曜日/砂湯=3・6・9・12月第3水曜日
入浴料金:普通浴¥100/砂 湯¥780
JR「別府」下車 徒歩10分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2003/04/03 16:00

 臼杵の観光から別府に戻り竹瓦温泉へ行きました。明治12年(1879)創設の歴史ある浴場で、創建当時の建物の屋根が青竹で葺かれていたところから竹瓦温泉の名称がついたと伝えられているそうです。現在の建物は昭和13年(1938)に建設されたもので、正面は唐破風のある豪華な温泉で、その外観は別府温泉のシンボル的な存在となっています。道後の温泉本館、別府の竹瓦温泉といった感じでしょうか。
 ここの温泉の特徴は、なんといっても砂湯があるところです。砂湯は鹿児島県の指宿が有名ですが、ここは建物の中に砂場があり砂湯を楽しめます。今回は砂湯に入りませんでしたが、7,8年前に別府に来た時に一度入りました。指宿は浴衣を着て寝ころびますが、ここは素っ裸にタオル一枚で大事なところを隠すと、砂掛けのおばちゃんがクワで砂を掛けていってくれます。それゆえ男女の砂場が、お風呂屋さんの男湯、女湯のように別れていて、砂場の横に小さな浴槽も付いています。脱衣場が独立しておらず、浴室(砂場の部屋)の片隅にある辺りは、温泉の共同浴場を思わせる造りです。高い天井を見ながら寝っ転がるのもなかなかオツな砂湯です。
 今回は行ったのは、建物右手にある普通湯の方です。ここも市営なので温泉まつり中、普通湯の方はタダになっていました。
 建物に入るとまず広ーいロビーがあります。黒光りした木造のいい感じです。天井はしっかり高い格天井です。一部は畳のコーナーもあり、入浴後ものんびりしてしまいそうです。ここはどちらかといえば、観光客中心の温泉でロビーも観光客で結構いっぱいでした。またここの2階も集会施設として利用されているようです。
 普通湯へは、ロビーの隅にある引き戸を開けて入ります。入ると脱衣用の棚のある8畳ほどのスペースがあり、そこから階段で下りていくと半地下の浴槽スペースになります。脱衣場の窓が開いていると、前の道路が丸見えで、観光客が写真を撮っている姿なんかが見えます(笑)。浴槽は、奥の壁につく形でアーチ窓型の浴槽が1つあります。お湯は不老泉と同じくほとんど無色のお湯でした。温度は不老泉よりはぬるく42℃ぐらいでしょうか。それでも一般の人には熱いと思います。後で気づきましたが、外にあった泉質の表示を見ると、男湯、女湯微妙に泉質が違うようです。
 さあ入るぞ!と私が服を脱いでいるとき、先に入っていた観光客のおっちゃんがタイマーをセットして、温泉に入っているところを写真に撮ろうとしていました。すると地元のおじいちゃんが、「わしが撮ったる(多分そう言ったという予想)」とカメラを取り、わざわざ脱衣スペースまで階段を上がって来られました。別府の人は優しい人が多い!
 浴室は、木造浴舎のいい感じです。構造の問題でしょうか?浴室に1本だけ柱が建っています。奥の壁には、さすが竹瓦温泉!竹のデザインされたタイルが使われていました。ここもカランを使っている人はいません。まあカランといっても、洗面台のようなところに、水だけ出るカランがあるだけなんですけど。
 写真は、人が写らないよう脱衣スペースから1枚だけ撮らしてもらいました。まあ何となく感じが分かってもらえるでしょうか。
 余談ですが、竹瓦温泉は風俗街のすぐそばにあるんです。呼び込みのお兄ちゃんには十分注意しましょう。
 
泉質:砂湯 炭酸水素塩・塩化物泉
   男湯 炭酸水素塩化物泉ーナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)
   女湯 炭酸水素塩泉ーナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)・鉄
効能:砂湯 リューマチ、皮膚病など(飲用 胃腸病、肝胆病など)
   男湯 リューマチ、神経痛、皮膚病など(飲用 胃腸病など)
   女湯 リューマチ、神経痛、婦人病など(飲用 貧血など)
源泉温度:54℃
方式:かけ流し

 

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


 

梅園温泉

別府市元町(梅園通りのソルパセオ銀座から少し西へ行ったところ)  営業時間:12:00〜24:00 
定休日:? 入浴料金:¥100
JR「別府」下車 徒歩8分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2003/04/03 22:30

 ここの浴場は非常に分かりにくい場所にあります。私も地図を見ながら歩いていたのですが、一度前を通り過ぎてしまいました。梅園通りという京都でいうところの西陣京極のような通りの中にあるのですが、浴場への入口の路地が幅1mぐらいしかありません。左の写真の奥に入口があるのです。要注意です。
 この路地を入って行くと手前に男湯の引き戸が、奥に女湯の引き戸があります。引き戸を開けると、右手に番台のような受付の部屋があるのですが、無人で前に料金箱が置かれています。左手の暖簾をくぐれば狭い脱衣スペースがあり、そこはすでに浴室というまさに温泉浴舎といった造りです。写真がピンぼけしていますが、湯気がすごいんです。一応奥の窓は開けてあるんですが、もうもうと湯気が立ちこめています。浴槽は中央に楕円形の浴槽があるシンプルな造りです。
 私が行ったときは地元の先客がおられ、「おじゃましま〜す」と言って湯船に浸かりました。熱すぎず、ぬるからず、42℃ぐらいでしょうか、ちょうどいい温度です。ところが地元の方にとってはぬるかったのでしょう。「ぬるくない?」と声を掛けてくださりました。「ちょうどです」と答えたのに、わざわざ浴室の隅にある泉源のお湯が出てくる升のところに行き、木の栓のようなものを抜くと、浴槽に熱いお湯が流れていく仕組みを説明して下さいました。今まで入った3軒共、浴室の片隅に小さなお湯溜めのようなものがあったんですが、仕組みはどこも同じで、源泉がまずその升に入り、その升から浴槽にお湯が流れることで温度調節をしているようです。
 その親切なおじさんにいろいろ聞いたところ、ここの浴場は地元有志によって維持管理されている共同浴場で、地元の方は一人月800円の使用料払って使っておられるそうです。おじさんも定期券のようなオレンジ色の券を持って入りに来られていました。壁には会員制の浴場なので部外者の入浴はダメと書かれていたのですが、ちゃんとお金を払ってくれればいいよとおおらかなお答えでした。どうも無人なのでふととき者の観光客がタダ入りするようです。
 そうこうしていると若い大学生のお兄ちゃんが入ってきました。おじさんとは、なじみのようで話もなめらかです。「そんじゃあ」「おやすみなさい」というあいさつも板についています。このお兄ちゃんともちょっと話をしたところ、彼の家には風呂がないらしく、毎日この浴場を使っているそうです。若者にもしっかり定着しているここはまさにコミュニティーです。私は服を着ながらも、近所の浴場を回ってきた話なんかをしてたんですが、最後に浴室の写真を撮らしてもらいました。
 そして私もさっき彼がおじさんと交わしていた挨拶をまね「お先です。おやすみなさい」というと、彼も「おやすみなさい」の挨拶。なんて気持ちのいい温泉なんだろう!身も心も温まって宿に帰りました。
 
泉質:重炭酸土類泉(
別府八湯温泉道のホームページより)
効能:不明
源泉温度:59℃(
別府八湯温泉道のホームページより)
方式:かけ流し

 

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


 

駅前
 高等温泉

別府市駅前町13-14  営業時間:並 湯6:45〜22:45 / 高等湯24時間営業
定休日:年2回大掃除時(4月/11月)
入浴料金:並湯¥100/高等湯¥300
JR「別府」下車 徒歩2分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:
2003/04/04 8:00(並湯)
2011/04/17 22:00(高等湯)

 ここは別府でも一番分かりやすい共同浴場です。別府駅から海に向かって駅前通りを行くと、すぐに洋館風の建物が見えてきます。この浴場は町営なのですが、ここは別府市。自治体の町ではなく、駅前の自治会が運営する町営浴場です。
 ここの特徴は、高等湯に入ると炭酸泉と硫黄泉の2種類の温泉を楽しめるというところです。また2階は休憩施設や宿泊施設も併設していて、廉価で利用できます。高等湯は24時間やっているところが驚異的です。
 2種類のお湯を楽しみたいのはやまやまですが、より地元密着のお湯に入ろうということで並湯に入りました。発つ前に最後の一風呂ということで、時間は朝の八時。入口のフロントでお金を払い、奥の暖簾をくぐると誰も入っていません。最後まで貸し切りでした。造りは規模の違いこそあれ、浴室と一体になった脱衣スペース、半地下になった浴槽フロア、一つキリの浴槽と似通った感じです。ここの脱衣スペースもオープンで、窓からは駅前通りを通るバスの乗客がはっきり見えます(笑)。湯温はやや高めで42〜43℃といった感じです。カランは手前と奥に数カ所づつありますが、一応お湯の蛇口も付いていました。
 誰もいないと写真も遠慮なく撮れます。浴槽の奥に四角い蓋をしてある升があるのが分かるでしょうか。この升がどこの浴室にもあるんです。一人っきりだったんで、地元の方と話すこともなく純粋にお湯だけ楽しんだ高等温泉ですが、今度は是非高等湯の方も入ってみたいところです。


泉質:並 湯=炭酸泉/高等湯=硫黄泉&炭酸泉
効能:婦人病、胃腸病、やけど、神経痛 等
源泉温度:59.3℃
方式:かけ流し

駅前高等温泉の公式サイトもあります。


 並湯に入ってから8年。高等湯に入りました。
 並湯と高等湯の値段の差は100円ですが、高等湯は100円以上の価値がありました!
 まず、フロントで洗面器とタオルを貸してもらえます。高等温泉と書かれたオレンジ色のタオルは受付で販売(250円)もされていたので、帰りにお土産に買ってしまいました。
 さらに、高等湯は熱い浴槽とぬるい浴槽のふたつが用意されています。別府の共同浴場は結構お湯が熱いめの所が多く、水風呂もないので長湯が出来ないのですが、こちらのぬるい方の浴槽は38〜39℃ぐらいでしょうか。ゆっくりと浸かれました。飲みの合間に入るのにぴったりです(飲酒入浴には十分注意しましょうね)。
 写真も追加しておきます。

こちらもやはり半地下浴槽。見えているのが熱い方の浴槽。左に見えているのが借りた洗面器とタオル。

脱衣場の下にあるのがぬるい浴槽。別府にあって貴重なゆっくりと入れるお湯でした。

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


東町温泉

別府市浜脇1-16-14(東別府駅前)  営業時間:6:00〜22:30
定休日:不明  入浴料金:¥100
JR「東別府」下車 徒歩1分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2009/04/16 7:30

 6年ぶりの別府温泉。前回同様に神戸港から大分港へフェリーで到着。時間は午前7時。早速朝風呂へと港の最寄り駅である西大分駅から電車でひと駅移動して東別府駅(右写真)へ降り立ちました。
 この東別府駅は木造のええ感じの駅舎なのですが、看板によれば明治44年に浜脇停車場として開業。当時の面影を大分県下で最も残しているということで、平成15年に別府市の有形文化財に指定されたそうです。浜脇温泉は別府温泉発祥の地といわれ、鉄道開通当時は別府温泉と並ぶ一大温泉地として大変賑わっていたそうで、かつては遊廓もあったそうです。今回浜脇温泉の街歩きは叶いませんでしたが、現在は市営でありながらトレーニングルームを備えたクアハウス風の「湯都ピア浜脇」を中心に静かな新旧入り交じった感じの町となっているようです。
 さて、駅からだらだらと坂を下ると、目の前にあるのがコンクリート2階建ての東町温泉です。1階部分の薄いピンク色の塗装に浮かんだ雨だれのシミが歴史じさせてくれます。2階は地区の公民館になっているようで、まさに町の共同浴場といった感じです。
 入口を入るといちおう受付が設けられているのですが、訪問時は無人で料金箱に100円を入れました。料金箱の隣には、地元の方が使う入浴券が、男女別の伝票刺しに無造作に刺されていました。また、受付前の通路に按摩機が置かれているのですが、この按摩機の料金箱も受付に並べておかれています。この通路の雰囲気がなんとも言えずよく、風呂上がりに休憩するのにもってこいです。無人ですが、受付にちゃんと花が活けられていているあたりは、京都の各町内にあるお地蔵さんと通じるものを感じます。
 別府の公衆浴場の浴室の多くは半地下に設けられていますが、ここ東町温泉は地下1階と言ってよいほどの深さまで階段で下りていきます。やはり脱衣場は独立しておらず、浴室の隅に棚だけ設けられている形式でした。浴槽は浴室中央に無色透明なお湯が張られた小判型のものがひとつ。大人が3人も入ればほぼ一杯で、浴室の広さに対してかなり小さめです。対して浴室の隅にある源泉の升の大きさが浴槽とほぼ同じぐらいあり、今まで見た中で一番の大きさでした。
 訪問時はラッキーなことに貸し切り状態。ほどなく地元の方が洗面器を持って入りに来られましたが、挨拶を交わしたあとは静寂の世界。近くを走る国道の喧噪が遠くに聞こえ、浴室内は時間が止まった別世界です。熱めのお湯に身をひたしていると、踏切のカンカンという音が聞こえてきて、なんとも旅情感が溢れる温泉でした。
 いやー、九州上陸後の第一湯目として満足、満足。

泉質:単純泉

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


しづ香温泉

大分県竹田市直入町大字長湯7655  営業時間:7:00〜17:00
定休日:不明  入浴料金:¥100
JR豊肥本線「豊後竹田」下車 竹田交通バス長湯車庫行きで約45分「山脇」下車 徒歩約3分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2009/04/16 10:30

 別府浜脇温泉の東町温泉に入浴後、大分駅に出てレンタカーを借り、一路長湯温泉へ。公共交通機関を使うと大分駅から非電化路線の豊肥本線でまず豊後竹田駅まで行き、さらにバスで長湯温泉まで合計2時間以上掛かりますが、車だと大分から一時間ちょっとで到着します。
 長湯温泉は日本有数の炭酸泉で知られており、平成18年には九州で初めて「源泉かけ流し宣言」を行い、宿泊施設や日帰り入浴施設がすべて源泉かけ流しとなっています。代表的な宿泊施設として与謝野晶子や徳富蘇峰らの定宿だった
大丸旅館が町の中心部の芹川沿いにあり、徒歩圏内には大丸旅館が運営し東大の藤森先生が設計したラムネ温泉館や、芹川の河原に湧くガニ湯、長湯温泉療養文化館「御前湯」、廉価に利用できる市営の長生湯などが固まっています。
 ガニ湯を見学したあと私が向かったのは、ラムネ温泉館でも、御前湯でもなく、悲しい性かな中心部から車で数分のところにある温泉マニアのサイトで高く評価されていたシブ系の私営浴場のしづ香温泉。外観はうっかりしていると通り過ぎてしまうほど地味な建物です。
 入口を入ると受付があるのですが訪問時は無人。カンカンにお金を入れます。意外にも(失礼!)脱衣場は独立した部屋になっており、床は昭和色満載のビニールカーペット。窓を開けると芹川の河原が一望できます。さて、浴室に入ろうと浴室への引き戸を開けようとしますが、これが開きません。立て付けが悪いのか、温泉成分で固まってしまっているのか、少々コツが要りました。
 浴室ですが、思わず「おーっ!」と声を上げずにはいられない雰囲気。青み掛かった黄土色のお湯がなみなみと注がれた浴槽の縁や、周りの床は温泉成分が析出し、まるで鍾乳洞か千枚田のような自然の造形美を作りだしています。お湯に手を浸けるとやや熱いですが、浸かれないほどではありません。透明度は30センチぐらいでしょうか、浴槽の形状がよく分からないのでそろりと足から入りましたが、浴槽は結構深めです。ちなみにこの時、この浴槽は貸し切り状態。肩までお湯に浸かると思わずにやけます。聞こえるのは湯口から注がれるお湯の音のみ。あー、シ・ア・ワ・セ。
 湯口のお湯を口に含むと、土臭いと申しましょうか、そういうお味の温泉でした。炭酸泉ですがあまり炭酸を感じることはありません。しかし、味が土臭かろうが、湯口のパイプを支えているのが重ねた洗面器であろうと、そんなことはどーでもよくなります。大地の恵みをこの空間で、生まれたままの姿の全身で感じる幸福感よ。あ〜。
 ほどなく地元のおじいちゃんが洗面器を抱えて入りに来られましたが、浴槽からお湯を汲んで体を洗う様子がサマになってるなあー。毎日このお湯に浸かれる環境がうらやましい。脱衣場のベンチで脱力感に包まれながら、しばし惚けたのでありました。ちなみに帰るときには、受付におばちゃんがおられましたので、心から「ありがとうございました」と申し上げました。

芹川の河原にあるガニ湯。脱衣コーナーは橋の下というワイルドさです。

析出物が框から湯船に向かって庇のように出っ張っていました。

この光景を目にしたなら、自然の造形美に圧倒されます。美しい!!


泉質:マグネシウム・ナトリウムー炭酸水素塩泉
適応症(浴用):きりきず、やけど、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、
        関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、
        疲労回復、健康増進
適応症(飲用):慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病
源泉温度:不明
方式:かけ流し

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


千寿温泉

大分県竹田市直入町桑畑3315  営業時間:8:00〜21:00
定休日:不明  入浴料金:¥100
JR豊肥本線「豊後竹田」下車 竹田交通バス長湯車庫行きで約45分「桑畑」下車 徒歩すぐ

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2009/04/16 11:15

 しず香温泉で長湯の実力を思い知ったあと、もう一軒私営温泉に向かいました。なんでもこの千寿温泉は1981年に長湯の私営温泉としては最初に開設されたものなんだそうです。そういった歴史的な背景もあるのでしょうか、ラムネ温泉館など長湯温泉の5施設のお風呂に入れる千円の「湯巡り手形」のうちの一軒にもなっています。
 外観は民家の脇に浴舎が増設されたような感じで、受付は民家の方にあります。中にお年寄りがおられましたが、お金はポストの中に入れるシステムになっていました。
 
 さて、お風呂の方ですが小さな独立した脱衣場の奥に浴室があります。しず香温泉と比べると、こちらの方がやや透明度が高く浴槽の底が見えるか見えないかぐらいの感じですが、同様に析出物が浴室の床にくっついています。湯温は42度ぐらいでしょうか。しず香温泉よりやや低い印象です。かけ流しですので、当然湯船からお湯が溢れ出ているのですが、流れ出たお湯は溝に集められ、浴舎の外へ・・・って湯船に浸かっていたら溝の向こうに外の木々の緑が見えています。大地から湧き出たものですのでね、大地に還って頂きましょう(笑)。
 この温泉では、最初から最後まで貸し切り状態でした。ちょっと浴槽で泳いでみたり・・・くるくる回ってみたり・・・お湯を満喫したのでありました。


泉質:マグネシウム・ナトリウムー炭酸水素塩泉(中性低張性高温泉)
効能:胃腸疾患、リューマチ、神経痛、慢性肝疾患、糖尿病、痛風、肥満症、火傷、創傷ほか
源泉温度:不明
方式:かけ流し

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


七里田温泉
下の湯

大分県竹田市久住町有氏4050-1  営業時間:9:00〜21:00
定休日:第2火曜日  入浴料金:¥300
JR「豊後竹田」より竹田交通バス長湯車庫行きで約40分「須崎」または「入船」下車 徒歩約20分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2009/04/16 12:00

 長湯温泉からさらに西に4kmほど入ったところにある七里田(しちりた)温泉です。
 七里田温泉館という露天風呂もある立派な温泉施設もあるのですが、私が目指したのは七里田温泉の「下の湯」。「下の湯」と書きますが、よみは「したんゆ」というのが正解のようです。温泉マニアの間では、「日本一危険な温泉」「炭酸含有量日本一」として知られた温泉です。

 なぜ危険なのか。それは炭酸ガス(二酸化炭素)中毒で下手すりゃ意識を失う可能性があるから・・・。実際に過去に事故もあったようで、入口や浴室には換気に十分注意しなさいとか、浴室で寝ころばない(炭酸ガスは空気より重いため)、などといった注意書きがあります。

 この温泉に行くには、まず七里田温泉館でお金を払い、鍵を借ります。そして川沿いの道を3分ほど歩くと古い集会所のような建物があり、それが下の湯です。
 浴室は至ってシンプル。大人が3人も入れば一杯になる浴槽がひとつあるだけです。

 炭酸含有量が高くなるためには湯温が高すぎてはいけないのですが、こちらの温泉は人肌の37℃。浸かった最初はぬるく感じますが、しばらく浸かっているとじんわり温もりを感じます。
 なによりも感動的なのは、やはり炭酸の濃さでしょう。1分も浸かっていれば身体中に泡がまとわりついてきます。その泡を撫でると、しゅわしゅわ〜と泡がはじけたまりません。

 ぬるいのでいつまででも浸かっていられるため、相客となったおじさんはいつも数時間いるとおっしゃってました。私も久々の1時間オーバー。心地よい疲れに包まれたあとは、七里田温泉館のタタミの食堂で蕎麦をたべ、ゴロンとなったのでした。

泉質:カルシウム・マグネシウム・ナトリウムー炭酸水素塩・硫酸塩泉
効能:胃腸疾患、リューマチ、神経痛、慢性肝疾患、糖尿病、痛風、肥満症、火傷、創傷ほか
源泉温度:37.5℃
方式:かけ流し

七里田温泉館のサイトもあります。

↑七里田温泉館。こちらで受付してもらい鍵を借ります。こちらの温泉は長湯と同じく茶褐色の濁り湯です。

↑この川沿いの道を行けば「下の湯」へ。七里田温泉館から徒歩3分ほど。

↑シンプルな浴室。週末は結構混み合うようですので外すほうが無難だと思います。

↑1分も浸かればこの泡。泡はほっておけば段々大きくなっていきます。

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


喜楽湯

宮崎県延岡市本町1丁目3-7  営業時間:15:00〜20:00
定休日:日曜日  入浴料金:¥350
JR「延岡」より徒歩約20分

 

 

詳しい場所を見る

入湯日:2011/04/18 19:00




丸か湯の場所はこちら

 久しく新規アップをしていませんでしたが、アップせずにはいられない銭湯と出会ってしまいました。
 宮崎県の県北にある延岡市は、旭化成の企業城下町で人口13万人ほどの都市ですが、高速道路網から取り残されていて県庁所在地の宮崎県に行くにも、隣の大分県大分市に出るのにも車で1時間半以上掛かる町です。そこに2軒残っている銭湯の一軒がこちらの喜楽湯です。

 下見板張りの外観正面に大きな文字で屋号が書かれているところから、ただならぬ雰囲気です。聞けば昭和24年の建物だそうですが、建築基準法が昭和25年に施行されて、市街地では可燃材による外壁が禁止されますので、この外観は本当に滑り込みセーフのタイミングで建てられています。
 営業中でも暖簾は掛けられないので、遠くから判断せずにちゃんと前まで行きましょう。

 外観に圧倒されていてはいけません。中に入っても凄いんです。
 脱衣場の男女仕切の上に手書きの広告が並んでいます。きれいなので一見新しくも見えるのですが、電話番号を見ると局番なしの4桁。番台の女将さんに聞いたら創業時のモノだそうです。
 木製ロッカーのほかに、東京式の丸籠があったので、丸籠に服を脱ぎ捨ていざ浴室へ。

 ひゃー、浴室もすばらしいです!
 脱衣場から続くように、浴室内の仕切壁の上にも広告が並んでいます。中でもレンタカー会社の広告のバスの絵が泣かせます。これを見ただけでも延岡まで来た甲斐がありました。
 浴室は、中央に円形浴槽、奥に半円の浴槽がありますが、奥の浴槽は使われていませんでした。カランもあるのですが、相客の方は全員浴槽からお湯を汲みだして体を洗っておられました。小さいお風呂ですが、5人組の地元の若い方が来られ結構賑わっていました。
 いやー、この風呂は残って欲しい!心から思います。

↑脱衣場はこんな感じ。青いペンキは比較的最近塗られたようですが、自分の魅力を引き立てる術をよくご存知。

↑脱衣場の反対側。表に暖簾は掛かってませんでしたけど、こんなところに。マンションからの目隠しかな?

↑くぅ〜、この円形浴槽が泣かせる。奥の台状に出っ張ったところには、湯混ぜ棒もあるんだなこれが。

↑ここは美術館ですか?と訊かずにはいられません。広告の下の磨りガラスの桟も芸術的です。

↑レンタカー会社の広告。このバスに乗ってみたいと思うのはワタクシだけではないはず。

↑延岡にもう一軒残っている銭湯「丸か湯」。こちらもなぜか2階に暖簾が。浴槽は丸いのだろうか?

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>

 

瀧乃湯

台北市北投区光明路244号  営業時間:6:30〜21:00 定休日:無休
MRT「新北投」下車 徒歩8分



入湯日:2007/11/09 15:00

 台湾に行ったなら是非入りたいと思っていたのが、ここ北投温泉の瀧乃湯。日本統治下時代に日本人が建てたという公衆浴場なのです。
 北投温泉は、台北車站(台北駅)からMRT(いわば地下鉄)で約30分ほどの距離。新北投駅を降りて新北投公園右手の坂道を上がっていくと、右手に瀧乃湯が現れました。瓦屋根を載せた姿は、白壁のせいかお堂のような感じです。正面に番台というか受付があり、右手に「女湯」、左手に「男湯」と書かれている様は、異国情緒どころか日本そのものです。

 はやる気持ちを抑え、瀧乃湯にはすぐに入らずに、ひとまず温泉街をぶらぶら。 
 北投温泉は日本人が開発した温泉場だけあって、「熱海大飯店」とか「京都大飯店」など日本の地名を冠したホテルも見受けられます。多くのホテルは日帰り入浴も受け付けているのですが、これがなかなか興味深い。中国語で風呂のことを「浴池」と表しますが、「家庭池」「雙人池」「個人池」と多くの看板に書かれています。「家庭池」と「個人池」は、まあ日本でもありえるかなと思いますが、「雙人池」を堂々と表示する辺りは台湾文化なんでしょうかね。

 北投の源泉のひとつである湯気がもうもうと沸き立つ地熱谷を見学して、いよいよ瀧乃湯入湯です。
 入浴料金は、大衆池で大人90元(1元=約3.6円)。家族室もあるようですが、もちろん大衆池です。ワタクシ自慢じゃありませんが、中国語は麻雀用語しかしゃべれませんので、無人の受付で「すいませ〜ん」というと、おばちゃんが右横手から出てきました。
 男湯と書かれた側の入口を入ると、なんの心の準備もできないままいきなり浴室です! どこで靴を脱げばいいのだ? 右も左も分からぬまま、入ったところのベンチで靴を脱いだのですが、あとから観察していると、2段ほど高くなった棚の並んでいるところまでは、みんな靴のままで入ってます。感じとしては浴室と脱衣場が一体となった、日本の鄙びた温泉場のような雰囲気ですが、天井はなく、屋根裏が丸見えで、照明は数個の電球があるのみ。かなり薄暗い感じです。土足と裸足の区画が明確でなく、正直潔癖性の方にはかなり抵抗のある造りです。
 さて温泉ですが、浴槽は2つ。青みがかった灰色(これが青硫というお湯だそうです)をしたお湯が奥の浴槽に注がれており、奥の浴槽は体感で44度ぐらい、手前は42度ぐらいです。受付にpHが1.2±0.2と書かれていましたが、それほどピリピリした感じはありません。この温度だと、あまり長湯は出来ませんが、のぼせると水を浴びてちょっと休憩。そしてまた浸かるという繰り返し作戦で3回ほど浸かりました。浴槽はざらざらした感じの石造りで、浴槽の底まで石で出来ています。浴場設備としては、浴室奥にシャワー3カ所、カランも3カ所ありますが、すべて水しか出ませんでした。
 入ったのは金曜日の夕方でしたが、地元の方っぽい人が15名ほど入っていて、そこそこの混み具合。入浴客の中に、風呂に入る前にパンパンと体を叩きまくっているおっちゃんや、洗い場コーナーで太極拳もどきの体操をしているおっちゃんがいて新鮮でした。ベンチに座り、鉄格子のはまった窓を見ていると、映画のワンシーンに紛れ込んだような、はたまた戦前の世界にタイムスリップしたような感じです。
 風呂上がりは、建物の前にある休憩コーナーで一服したのですが、この建物で経営者(?)の方が、普通に住んでおられますね。飼い犬もいました。

 帰りは、親水公園露天温泉浴池(こちらは水着で入る温泉)のある川の反対側の道を下って行ったのですが、昔の北投温泉公共浴場を改修した温泉博物館は、残念ながら工事で休館中。公園で新婚さんがウエディングドレスで撮影しているのを横目に、駅へと向かったのでした。

↑瀧乃湯遠景

←もうもうと湯気が立つ地熱谷

↑浴室内の小屋組

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>


珠涼浴室

北投区公館路1号  営業時間:24時間営業 定休日:不明
MRT「新北投」下車 徒歩10分


入湯日:2007/11/09 16:00

 瀧乃湯入浴後、駅前のスーパーを冷やかし、ぶらぶらと温泉街とは反対の方へ行ってみました。
 郵便局があったので、日本までエアメールを頼むと10元とのこと。日本円換算だと36円ぐらいですので、日本で国内へハガキを送るより安いですね。
 光明路という路を駅から郵便局を越えてさらにいくと、左手に広場のような大きな通り(公館路)が現れました。ぼちぼち引き返そうかと思っていると、ビルに「珠涼浴室」という看板が! 1階を見ると受付に、「公衆池50元」「個人池90元」とあります。間違いありません!銭湯です! これは入っていくしかないでしょう。全く予定にありませんでしたが、ここで会ったら百年目。銭湯マニアとして入らないわけにはいきません。

 受付で50元(1元=約3.6円)を払い、左手の細い通路に入りました。通路には、片側に蝶番が付いている簡単な扉があるのですが、それを入ると壁際にベンチがあり、ベンチの上のフックに脱いだ服を引っかけるようになっています。脱衣場というものはなく、ベンチの先がもう浴槽が1個しかない浴室です。
 普段観光客は入ってこないような場所ですので、もの珍しげな視線を浴びつつ裸になり、掛かり湯をしようとすると、これが熱くて入れません(泣)。お湯は瀧乃湯と同じくやや青みがかった温泉で、体感45−46度ぐらいです。足だけ浸けてみても、ものの20秒ぐらいでギブアップです。近くのおっちゃんがなにやら話しかけて来ますが、熱くて入れないとボディランゲージで現してみるものの、なんのこっちゃ言葉は全く分かりません。周りのおっちゃんを観察していると、壁際にある細長い漕から、洗面器でお湯を汲みだして体を洗ったりしてます。ひとまずクールダウンしようと、私も汲み出すと、これは水です! みんな水で体を洗っていたのです。そして浴槽に入る前には、たっぷりと水を被って入ってます。私も見習ったものの、20秒ほど浸かるのがやっとでした。
 狭い浴室のこと、あまり時間もつぶせませんが、まわりの入浴客を見ていると、浴槽の周りでしゃべったり、持参したリンゴを囓ったりと思い思いのスタイルです。どうしても写真を撮りたくなり、中尾彬を10歳若くしたようなおっちゃんにカメラを見せ、OKかと聞くと、浴室にいた人に現地語で了解を取ってくださいました。感謝。この中尾彬の言葉で理解できたのは「ヤーパン」のみ。日本人かと問われて、うなずくのみのワタクシなのでした。いやー、貴重な体験をさせてもらいました。
 風呂上がりに受付横にあった牛乳がとてもおいしそうに見えたので、1本ちょうだいと身振りし、瓶に触るとなんとこれがホットです。11月ですが、台北の最低気温は20度以上。なんでやねん! あっつい湯に浸かった後、さすがに温かい牛乳は飲む気になれず、やっぱりやめるとまたもやジェスチャーで伝えたのでした。

 後日談ですが、まさかこの珠涼浴室は日本のサイトでは紹介されていないだろうと思い検索してみたところ、なんと既に紹介されている方がいました。しかも女性。参考に
リンクしておきます。

←フロントから通路を進んだところ。ベンチのところが脱衣所代わり。

↓浴室内。奥にもベンチと服を掛けるフックがある。浴槽に浸かっている人は少なく、周りでしゃべったり、休憩している人が多い。

↑フロントはこのような感じ

→浴室の片隅に設けられた水の漕。体を洗うのもここの水を使う。

<メインページに戻る> | <おでかけ編に戻る>