旭湯

東山区大和大路通五条上ル門脇町182 営業時間:15:10〜24:00 定休日:金曜日
京阪「五条大和大路」下車 徒歩3分

 

詳しい地図を見る

入湯日:2003/05/20 22:30

 六波羅密寺の前の道をしばらく南へ、洛東中学校の前でぱっと西を向くと見えるお風呂屋さんです。外観は3階建ての青いタイル張りのビルなんですが、暖簾の先の引き戸を開けると、土間に番台がある古いタイプの造りです。ここの番台は、「コ」の字型になっていて、脱衣場側が開いています。まわりの台も細く、簡易式番台といった風情です。しかし!私が千円札を出してお釣りをもらおうとしたら、番台の女将さんが脇に付いたかわいい引き出しをひょいっと引き、釣り銭を取り出されました。簡易式なんて書いて失礼しました。とってもキュートな番台です。
 脱衣場は、天井が低い以外はビル型であることを感じさせません。籠は柳行李で、名前の入った物も数個ロッカーの上に並べられています。体重計は石田のかなりの時代物。男女仕切には、人形がイスに座った油絵や金の招き猫など、昔からここに居りましたって感じで飾ってあります。また、この脱衣場にはテレビがなく、代わりに番台の上にある古いソニー製のラジオからNHKの第一放送が流れていました。
 浴室の方はきれいに改装され、古い面影は残っていません。ただ一カ所、カランの並ぶ壁の中央に20B角ぐらいの白地に青い染め付けのタイルが貼られていました。これは、改装前の浴室に使われていたものでしょうかね。昔のタイルで、白が今みたいに真っ白ではなく、ややくすんだ感じですが、それはそれでまた味があります。
 それから、脱衣場部分はビル型でしたが、浴室部分は中央に湯気抜きのある普通の浴舎です。改装時に脱衣場部分だけビルにされたようです。京都では、こういう造りが結構あります。
 浴室の構成ですが、奥に5,6人サイズのサウナと、ライオンの水吐き付水風呂があり、男女壁に沿って冷水管枕と背中にジェットの付いた寝風呂とふくらはぎ足裏刺激付腰掛け型ジェット、さらに泡風呂を兼ねた複合浴槽、深風呂、電気風呂、私が行ったときはラベンダー&カモミールの青いお湯だった泡風呂が並んでいます。
 私が行ったのが、10時半頃でいったん空き始めたんですが、上がって帰り支度をしている頃ばたばたとお客さんがまた来られていました。
 お風呂上がりは水分補給ということで、冷蔵庫を覗くと、四面体の冷蔵庫にお風呂屋さんドリンクは、ラムネとローヤルサニーの2品がありました。久しぶりにビー玉を押し込みラムネを飲みました。このもっとぐっと飲みたいんだけど、ビー玉が邪魔して勢いよく飲めないもどかしさ。くぼみでビー玉を押さえるんですが、瓶の構造上広口のようには飲めません。なんか「急いで飲みなさんな」と言われているようですね。そんな旭湯でした。

 旭湯さんが東山区で紹介する最後のお風呂屋さんになりましたが、この辺りは結構隣のお風呂屋さんと近く周辺案内に困ります(笑)。洛東中学から細い道をまっすぐ南に行き、五条坂に出てみましょう。
 この辺りは、清水焼の本拠地で、陶器を扱うお店が並んでいます。五条通を東大路通りの方に登っていくと、京都駅周辺丁字湯さんで紹介した若宮神社があります。現在のこの地には、慶長十年(1605)に移ってきたそうです。
 また、現在では陶祖椎根津彦命がご神体の陶器神社が合祀されていて、入口には「清水焼発祥之地 五条坂」という石碑も建っています。毎年8月7日〜10日まで開かれる陶器祭りは、この陶器神社の祭礼に合わせて開かれる市です。この陶器祭りは、暑い盛りですが、約500店もの露店が川端通りから東大路通りまでずらっと並び、京都で一番大きい陶器市です。陶器市に来たなら、陶器神社もちょっと覗いてみましょう。

 

 <メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


 

大黒湯

東山区大黒町通松原下ル山城町284 営業時間:15:20〜25:00 定休日:火曜日
京阪「五条」下車 徒歩5分

 

詳しい地図を見る

入湯日:2002/12/23 23:30

 六波羅密寺近くの大黒湯の紹介です。大黒湯さんには、入口からちょっと離れていますが、駐車場が2台分あります。私は気付かず路駐して、洗面器を持って入口の方へ行こうとしたらお風呂屋のおじさんがたまたま出てこられていて「駐車場ありますよ」と教えてくださいました。近所に路駐しようとしてすいませんでした。この場を借りてお詫びします。
 本題の大黒湯さんですが、入口は自動販売機を挟んで左右に男女分かれていますが、下駄箱スペースは共通になっています。もう一枚引き戸を開けると番台です。脱衣場は結構ゆったりした感じで、真ん中にベンチがありスポーツ紙や週刊誌が置かれています。花街宮川町が近い事もあり舞妓さんの名前の入ったうちわもありました。番台上には神棚、浴室側の梁にはエビス様のお面、浴室入口の上部には大黒様のレリーフといった脱衣場アイテムがあります。ちなみにこのお風呂屋さんの名前の「大黒」は通り名から来ていると思います。フジのマークの入った冷蔵庫には、城南鉱泉のサイダー、冷やしあめ、フルーツサワーなど一通りお風呂ドリンクも揃っています。
 浴室内は、まず目にはいるのが奥の壁一面にあるモザイクタイル絵です。バックに雪をかぶった山があり、森の中の湖から流れ出る川に、滝のある構図です。大黒湯からも近い千歳湯の構図とそっくりです。ただし、後から奥にサウナを作られていてサウナの入口と窓、さらに横にあるシャワーカーテンの掛かるシャワーコーナーの所が欠けてしまっています。ちょうどサウナの入口が滝の一部に掛かっているのですが、千歳湯でこの部分には滝上りをしている鯉がいたところです。予想ですが、大黒湯もサウナ増設前はここに鯉が描かれていたと思われます。浴槽は、男女壁にそって奥から手前まで水風呂、深風呂、浅風呂と腰掛けジェットが一緒になった浴槽、電気風呂、じっこうの薬湯と5つの浴槽が並んでいます。水風呂には、花瓶を横に向けたような水吐きが付いていました。水風呂はしっかり冷たく、深風呂はしっかり熱く、薬湯は適度にぬるい湯温設定としては王道を行くパターンでした。
 客層は比較的若い人が多かったのですが、脱衣場で着替えていると女湯の方は、深夜12時近くにも関わらずおばちゃんが入れ替わり立ち替わり結構来られていました。姦しさはどこのお風呂屋さんも一緒です。この辺りは、宮川町の花街が近いので仕事がはねてから来られているのかも知れません。深夜にも関わらず、なかなかの混雑ぶりだった大黒湯さんでした。


 河原町丸太町近くの桜湯さんに、旅の手帳増刊で「京の冬の旅2001」という雑誌があり、その中の「ほっこりレトロ京都」という特集で大黒湯さんが紹介されていました。女湯の写真が掲載されており、宮川町の舞妓さんが深夜入りに来られるという紹介記事がありました。
 写真を見ますと、女湯側のタイル絵は岩肌の見える山をバックに、手前に湖が描かれています。湖の畔に建っている建物の様子から、どうも外国らしき雰囲気で男湯とはかなり趣が異なっていました。
(2003.5.23追記)


 大黒湯をもう少し東に行くと、六波羅密寺の角に出ます。このお寺の宝物館では、教科書でもお馴染みの、口から6体の阿弥陀仏が出ている空也上人像や、平清盛像などの重要文化財が拝めます。詳しくは、ちゃんとしたガイドを見て頂くことにしまして、六波羅密寺を、左手に見ながら、さらにまっすぐ行くと、道が細くなりますが、この辺りからなんともいえない六波羅の雰囲気が漂ってきます。「六波羅風水」という名前の喫茶店には、風水ランチ、風水カレーなるメニューが書かれていますし、その喫茶店の手前を左にいくと「ハッピー六原」というスーパーがあるベタな一角に出ます。これぞ庶民派といったような一角です。
 また大黒湯のすぐ東の大和大路通りを南に行っても、なかなか面白い所です。五建ういろなどの老舗に混じって、時計やカバンを古い町家のショーウインドに無造作に積み上げた「イシダ」というお店や、今では見ることの少なくなった電気配線の絶縁体である碍子を専門に扱っているお店があるかと思えば、昭和初期の雰囲気を伝える現役の太田内科診療所というお医者さんなどバラエティーに富んでいます。まっすぐ五条通まで出れば、角に「これより五条坂」の石碑が立っています。

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


 

滝の湯
2004.12.31廃業

東山区松原通東大路西入新シ町133 営業時間:16:00〜24:00 定休日:日曜日
市バス「清水道」下車 徒歩1分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/12/12 22:30

 東山の松原を西に少し入ったところにある滝の湯の紹介です。このお風呂屋さんで印象的なのは、建物の前に、橋の欄干のような石で出来た柵があり前庭の様になっているところです。また、唐破風の下に掛かっている暖簾の左右は竹垣のような設えになっていて木造の建物と相まって和風のいい感じを出しています。また、入口の横には手製の営業時間などを書いた案内板が出されているのも雰囲気に良く合っています。
 暖簾の先は、男女別々のガラスが入った引き戸があり、引き戸を入ると靴を脱ぐ前に番台がある造りになっています。脱衣場は、番台と向かい合わせに立派な神棚が飾られ、また女湯との境の壁には千客万来の額が飾られていたりと和風の味を醸し出していますが、ロッカーの横手には一転マガジンラックに手を加えたような飾り棚にクリスマスの電飾が施されていました。ロッカーは、ガラス窓のついた使い込まれた木製の物で、籠は竹で枠をつくった柳行李でした。冷蔵庫は、フジのものが置かれラムネや冷やしあめなどのお風呂ドリンクがありました。
 浴室の方は、壁のほとんどが昔ながらの白タイルで、右手のカラン列の方に緑色のグラデーションのラインが入っています。カランのついている所だけ、後からタイルが貼り替えられていてカランの間に花がプリントされたタイルがついていました。浴槽は男女壁側に手前から浅風呂、深風呂があり多分炭が入っていると思われる袋が数個沈めてありました。あと浴室奥には石を組んだ湯口からお湯が出ている、2連のジェットが2カ所ある浅風呂があります。全体的にお湯は熱めだと思いました。このお風呂屋さんには水風呂が無いのですが、脱衣場側に扇形にせりだし、アクリル板でアールをつけたシャワースペースがあります。このシャワーは、普通の立ちシャワーの他にボタンが付いていて、ボタンを押すと4カ所から体めがけて水が勢いよく出る仕組みになっていて、ボタンを押す瞬間はちょっと覚悟がいります。
 お客さんは、結構若い人が入れ替わりたち替わり入ってこられていました。こぢんまりした昔ながらの街のお風呂屋さんでしたが、別に何もなくてもそれはそれでいいと思わすお風呂屋さんでした。

 滝の湯の向かい側は、力餅食堂という大衆食堂で道路に面したショーケースでは、赤飯や大福餅を売っておられます。その数軒西に行ったところにあるお茶を扱うお店では、身ごもった女性が死後子供を出産し、お乳が出ないので夜な夜な飴を買いに現れ子供に与えたという言い伝えがある「幽霊子育飴」を売っておられます。元々は、「みなとや」というお店がこの近くにありその飴を製造販売しておられたそうですが、山科に移転され滝の湯の向かいのお店で販売されるようになったそうです。そんな伝説も残るこの辺りは、京都の代表的な葬送の地であった鳥辺山への入口にあたる場所で、死後の六つの世界(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上)に通ずる冥界への入口として六道の辻と呼ばれます。その中心となるのが、滝の湯から数十メートル西にある六道珍皇寺です。このお寺の裏には、平安時代の学者、歌人、官吏であった小野篁が毎夜冥界に通ったとされる井戸があります。小野篁はここから冥界に行き、夜は閻魔大王に仕え、明け方嵯峨六道町にある福生寺(現在の薬師寺)の井戸から娑婆に戻って来たという伝説です。京都では、お盆に多くの方がこの六道珍皇寺に六道詣り(8/7〜10)に訪れ、境内にある迎え鐘を突き、小野篁が井戸に入る時その穂先を伝って入ったとされる高野槙で経木に水を掛ける水回向を行い、先祖のお精霊(おしょらいさんと呼ぶ)をお迎えされます。普段は、裏庭の井戸や重要文化財の薬師如来像は拝観に事前の予約が必要ですが、鐘の周りを全て塗り壁で囲い、綱だけが出ている鐘突き堂は、自由に見ることが出来ます。(←六道珍皇寺)

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


 

千歳湯
2004年頃休業
のちに廃業

東山区松原通大和大路東入弓矢町58 営業時間:15:30〜24:00 定休日:土曜日
京阪電車「五条」下車 徒歩7分 または 市バス「清水道」下車 徒歩5分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/12/09 22:30

 川端松原を東に行き、松原警察署の隣にある千歳湯の紹介です。もしかしたら京都で一番治安のいいお風呂屋さんかもしれません。お堅いお風呂屋さんかと思いきや下駄箱スペースの引き戸の上には、「男」「女」と手書きで書かれたアットホームなお風呂屋さんです。
 番台にお金を払いロッカーの方に行くと、番台のおじさんが「籠これ使ってください」と柳行李を勧めてくださり、「浴槽は真ん中が熱めで奥の右側がぬるめです」と説明してくださいました。籠は黄色のプラスチック製と柳行李が半々ぐらいですが、祇園のお風呂屋さんらしく屋号の入った柳行李も並べられています。ロッカーがまたステキで、ガラス窓のついた木製ロッカーで、番号がガラスに金文字で入っています。ちょっとマニアックになりますが、ロッカーの鍵は、後から付け替えられた物も混じっていて、キングとおしどりが混在しているのですが、おしどりの鍵はMIYASHITAという特許のついた珍しい物でした。脱衣場の特徴ですが、隣が松原警察署だけに東山区の痴漢発生場所とひったくり発生場所のマップが貼ってありました。痴漢は京女周辺で多発、ひったくりは祇園の繁華街で多発してるそうです。気を付けましょうね。
 ロッカーもステキな千歳湯さん、浴室もステキです。正面壁一面に状態のいいモザイクのタイル絵があります。男湯側は、山の中の湖から川が流れ出し、手前のちいさな滝を鯉が登ろうとしている所です。女湯側は、上の方の岩肌むき出しの山が見えたのですが、後で聞いたところによると男湯と全く趣向が異なり女神像にアヒルが数匹泳いでいる絵なのだそうです。浴槽は男女壁に沿ってジェットが2カ所ついた浅風呂と深風呂があり真ん中にリンゴ型(京都の銭湯巡りの先人いのきんさんが命名)の噴水がついています。そして奥の壁沿いに、少年が乗った鯉の水吐きがついた水風呂と、半分が電気風呂になった浴槽があります。浴室の床には直接排水溝が掘られていますし、タイル絵もあり、しかも男女壁の上に白樺らしき木があるタイル絵の構図は、上賀茂神社近くの柊湯さんとちょっと似たような感じです。
 お風呂上がりは、番台が女将さんに代わっていたのですが、タイル絵についてお聞きすると昭和36年に付けられたそうです。やはり愛知県の窯元に特注だったそうです。あまり大きなヒビもなく状態がいいですねえというと、天井の塗り替えの度に細かい修理をされているそうです。いつまで続けられるかとおっしゃってましたがまだまだ頑張ってください。
 話は変わりますが、脱衣場にフジの冷蔵庫があり、フジドリンクの瓶に入ったサイダーを飲んだのですが、これの王冠は城南鉱泉だったんですよねえ。城南鉱泉、なんの瓶でもおかまいなしです。おそるべし。

 千歳湯のある松原通は、平安京の五条大路にあたる道で昭和30年代までは祇園祭の山鉾巡行が通っていたこともあるなかなか歴史のある通りです。鴨川から東の千歳湯辺りもなかなか由緒ありげなお店があります。千歳湯からもうしばらく東に行くと六波羅蜜寺に向かう角に末廣不動尊をお祀りする西福寺があり「六道の辻」の石碑が建っています。
 そのちょうど向かい側に格子のはまる町家に杉玉を下げた「菱六」という300年以上続く種麹屋さんがあります。麹屋さんといっても、全国の酒造・醸造メーカーさんに麹菌を販売されている会社で、別に小売りをされているわけではありません。しかし、ここで冬場甘酒用の米糀(こうじ)を500g500円で分けていただけます。甘酒は、酒粕から作る方法と糀から作る方法がありますが、糀から作った方がアルコール臭が無く、自然な甘さが出ておいしくできます。米糀と一緒に甘酒の作り方を書いた紙を頂けますが、家庭の場合炊飯ジャーを使っての作り方が書かれています。要は甘みを出し、すっぱくならないように55℃〜60℃に保つ必要があるそうです。私も炊飯ジャーで作ってみましたが、奇跡的にうちの炊飯器だと蓋を開けて保温にしておけば適温に保たれました。ちなみに完成まで8時間かかりますが、最後の1,2時間で感動的に甘さが増します。それだけ時間をかけて手作りしたせいもあるでしょうが、とってもおいしい甘酒ができました。興味のある方は一度お試し下さい。

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


団栗湯
2013.12.26廃業

東山区新道通団栗下ル博多町104 営業時間:15:30〜25:00 定休日:金曜日
京阪電車「四条」下車 徒歩3分 

詳しい地図を見る

入湯日:2003/01/15 23:30

 四条大橋の一本南の橋を、団栗橋と言いますが、団栗橋から東に2筋目を下がったところにある団栗湯です。入口はきれいに改装され、自動ドアになっています。入ると、5人ぐらい座れるベンチがあり、ちょっとしたロビーになっています。ベンチの端には、映画のビデオが籠に10本ぐらい入っていて何かなと思ったら、一人1本までお貸ししますとのこと。このロビーは無人ですので、お客さんをとことん信じたサービスです。フロントかなと思わす造りですが、ロビーから引き戸を開けると、昔ながらの番台です。
 脱衣場は、あまり飾り気もない普通の脱衣場ですが、行った時間帯のせいか、床は脱衣籠が一面に広がっている状態でした。客層は、圧倒的に料理屋の職人風にいちゃんが多数を占めていました。11時頃がちょうど店がはねてお風呂に来る時間なんでしょうか。
 浴室の方も、きれいに改装されています。奥にサウナがあり、男女壁に沿って奥から水風呂、電気風呂を兼ねた深風呂、ジェットが2カ所付いた浅風呂、泡風呂付きの薬湯になっています。円形を組み合わせたような浴槽は、祇園の古門前にある新シ湯にちょっと似た感じです。薬湯は、初めて見るローズ&サンダルウッドというもので、ピンク色のお湯でいい香りのするお湯でした。天井も壁もきれいにタイルが貼り直され、気持ちのいい浴室ですが、奥にある柱1本だけが、昔ながらの円い豆タイルを貼ったもので、昔の浴室の名残を残しています。
 浴室内を見渡しますと、新しいながらなかなかタイル使いは工夫されています。浴槽の縁は、赤い御影石を使っているのですが、浴槽の外側の壁はパステル調のタイルでグラデーションっぽくなっていますし、壁のタイルも所々パステル調のタイルで模様が入っています。また、鏡の位置には、半分ぐらい鏡で隠れて見えませんが、オレンジと緑のタイルが交互に貼られ、ラインになっています。このオレンジ色は、ちょっと特徴的なのですが、西陣の山城温泉と同じ色です。照明の付け方も、カラン列の上にいくつも照明を並べる辺り、ちょっと山城温泉に似たような感じもします。入口の横に、掛かり湯用のお湯溜とシャワーコーナーがあるのですが、入ったときの死角になるため、お湯溜を利用している人は、残念ながら皆無でした。まあ私も見落とした一人なんですけどね。きれいな浴室に、職人系の兄ちゃんで活気あふれる団栗湯でした。

 団栗通は、花見小路から木屋町辺りまでの短い道ですが、一番分かりやすい説明といえば突き当たりがJRAのWINS祇園の道といえばかなりの方が分かるでしょう。G1開催日には、さながらWINSの参道の様になります。
 団栗湯のある場所は、宮川町の花街にもほど近く、一本西の通りは石畳できれいに整備されています。花見小路と比べると、人通りも少なく道も狭いので通好みの道かも知れません。京都の花街は、春(祇園東部は秋)に踊りの会が催されますが、宮川町は楳茂都流の「京おどり」です。その時期になると花街には宣伝のぼんぼりが上げられ、季節感を感じる一つの風物詩になっています。
 団栗湯の一本西の縄手通りを南に行くと、建仁寺の門がありますが、ここ建仁寺にも同志社周辺の蛭子湯の周辺案内で紹介した相国寺の浴室のようなお風呂が残っています。春や秋の公開の際に見られますので、興味のある方はどうぞ。
 その建仁寺の門から、少し南に行くとお風呂マニアの心をくすぐる店があります。昔ながらの木の桶を製造販売している「おけ庄」という店なのですが、大きな樽のようなおけから、神棚で使うような小さな物までいろいろなものが並べられています。当然気になるのは、お風呂で使う桶やイスなのですが、値段を見てびっくり!桶は4000円ぐらいから、イスはなんと1万円の値札が付いていました。材質にもよるんでしょうが、木の浴槽を頼んだらいくらぐらいするんでしょうかね。木のお風呂に入りたくなったら船岡温泉に行きましょう(笑)。

 

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


新シ湯

東山区古門前通大和大路東入3丁目古西町316  営業時間:14:30〜24:30 定休日:金曜日
市バス「知恩院」下車 徒歩2分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/08/07 22:30
    2003/09/28 23:00

 祇園もここまで来ると静かで人通りもほとんどありません。古い町家に囲まれて建っていますが、新シ湯は改装されてきれいです。
 脱衣場は、籐筵に籐製のかご。この辺りは歴史を感じさせます。この銭湯、奥にサウナがありますが、めちゃくちゃ暑く感じました。体調の悪いせいかもしれませんが、耳がすぐに痛くなってきます。温度計を確認したら105℃。暑いはずです。サウナを出るときに扉の取っ手も、ゆっくり開けていたら持っていられないぐらいでした。暑いのが好きな方にはいいかも。男風呂のサウナは浴室の奥に飛び出すような形で作られていましたが、屋根の作りから女湯の方は、浴室の一部をつぶすような形で作られているようです。水風呂の水はライオン口から出ていましたが、ライオンの色がめずらしく焦げ茶でした。浴槽は,円を組み合わせた形のものが2つと脱衣場に出っ張るような形で、小さな泡風呂になった薬湯があります。浴槽内はさらに、一人分ずつ壁際が仕切られており、入り口側から深風呂、ジェット(腰掛けタイプ)でひとつの浴槽、さらに電気風呂、泡&ジェット(冷水管枕付)、ジェットとあります。


 2回目の入湯、前回あまり詳しく書いてないので追記しておきます。
 前回全く触れていないんですが、玄関スペースにも脱衣場にも所狭しと絵や写真が掛かっています。その中身は油絵から、西陣織のタペストリー、色紙まで幅広く、また描かれている題材も風景から静物、人物までほんとに幅広い構成です。でもさすがにここは祇園。舞妓さんの絵やみやこ踊りの写真がいくつか入っていました。珍しいところでは、現在の京都市長桝本頼兼氏が「未」と書いた色紙なんかも掛かっていました。
 脱衣場の装飾品の類としては、金の招き猫が仕切壁の上にいるんですが、多くの絵や写真で霞んでしまっています。また、脱衣場にせり出して造られた薬湯の上にテレビと並んで大黒様や戎様の人形とカエルの置物などが数点置かれています。なぜか大黒様は写真でも一枚飾られていました。
 飲み物関係は、富士商事の冷蔵庫で売られています。お風呂ドリンクは何故かローヤルサニーの一品のみ。その代わりといってはなんですが、ビンのコーラやファンタが売られています。ビンのファンタは70円。良心価格です。
 前回暑い暑いと書いたサウナの温度計は今回も105度を差していました。でも前回ほど暑くは感じない・・・。体調のせいかなあ。でも温度計が正確ならかなり暑い部類に入ります。
 あと前回書いてないタイル使いですが、新しい中にもモザイクっぽく市松模様を使ったり、浴室内に何本かある柱の上の方は、クラッシュタイルのモザイクにしたりとなかなか細かい芸が使われています。
 カランが付いている壁にステンレスパネルを貼っているのも、ちょっと珍しい感じです。
(2003.09.28追記)

 新シ湯のある古門前通りは、新門前通りと並んで骨董品屋さんが立ち並ぶことで有名な通りです。海外向けのガイドブックには必ずと言っていいほど出てくる通りです。ほかにも、瓦屋さんなど古くからの商売をされている店も数多く残ります。東山(東大路)通りを渡れば、白川に一本橋が架かり、かもが遊んでいるような光景も見られます。
一澤帆布もすぐ近くです。一方、白川に沿って西に向かえば撮影などでもよく使われる、石畳がつづく辰巳神社周辺にもほど近い場所です。

 こちらもちょっと追記しておきましょう。
 今や押しも押されぬ京都土産の定番一澤帆布ですが、私もリュックを使ってます。(だいぶよたってますが・・・)ここは支店を持たず、また委託販売はなしで、かたくなに製造直販を守っておられます。購入しようと思えば、知恩院前の店舗に赴くか、通販になります。ここで手に入れたいのがカタログです。カタログといってもザラ版紙にカバンのイラストという超ハンドメイドの代物で、これに2センチ角ぐらいの色生地見本がつきます。これがあれば店頭にない商品でも注文できますし、さらに「生地は何色で、スッテッチは何色にして下さい」というような自分だけのレアモノを注文することも出来るのです。カタログの請求方法は、
一澤帆布のホームページに書いてありますので興味のある方はどうぞ。ただし、注文した場合は、完成までに最低3ヶ月は掛かるようですが・・・。
 写真のリュックですが、3年ぐらいはバリバリ使っていました。そうしているうちに肩ひもがぼろぼろになってきたので、「一澤帆布」と書かれたタグと、肩ひもを交換してもらいました。そう言う風にしっかり修理して下さるところもうれしいお店です。

 <メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>

 


 

孫橋湯

左京区新麩屋町通孫橋南入法林寺門前36 営業時間:15:00〜24:00 定休日:水曜日
京阪「京阪三条」下車 徒歩2分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/07/30 23:10
    2003/06/05 19:00

 小さい頃から孫橋湯の横は何度と無く通っていたのに、ここに銭湯があると気づかずに過ごしていました。この先に柳湯があるんですが、そこに行くときでさえ見逃していました。三条川端から一筋上がって東に入り一筋目の角にありますが、入り口がちょっと入ったところで分かりにくいのでご注意を。
 銭湯自体も規模は大きくありません。でも良くまとまっているといった感じです。入り口には豆腐屋のような無地の木綿の暖簾が掛かっています。脱衣場はやや横長の作り。古くもなく新しくもない木製ロッカーに籐籠。別に黄色のプラスチック籠も用意されていました。床はもちろん籐筵。
 浴室は改装されていてきれいです。サウナがよく脱衣場にせり出すように作られているところがありますが、ここは逆に浴室の一部をサウナに改装しています。スペースの問題上サウナは小さく、横に3人が並べる程度です。サウナ内には有線放送が流れていました。
 レイアウトは浴室に入って右手すぐにサウナ、続きに水風呂、健康風呂(泡)、深風呂が並んでいます。突き当たって深風呂の横に浅風呂(ジェット&泡)があります。水風呂の水はライオンの口から出ていますが、ここのライオンはやや顔の尖っているような気がしました。色は普通の黄土色です。
 この銭湯今までの中で唯一石鹸とシャンプーが設置してありました。なかなか良心的。あと特筆すべきはイス。一般の家庭で使っているような結構しっかりした白いイスでした。普通の銭湯にあるイスより高いせいか、鏡(珍しく横に楕円形)の位置がやや低めになりかがまなければ顔が写らないと言う欠点はありますが、座り心地はいいです。番台の所に貸しタオル20円の表示もありました。手ぶらでもこれます。こぢんまりしているが、気持ちのいい銭湯です。
 また、この銭湯はお年寄りや体の不自由な方のために福祉入浴を実施されているそうです。


 今年(2003)の菖蒲湯は、ここ孫橋湯で入りました。今年の浴場組合の菖蒲湯は、6月5日。旧暦に合わせてということでしょうか?菖蒲湯は、普段薬湯になっている泡風呂付きの浴槽に、直径15Bほどの束が木綿の白い袋にくるんで浮かべてありました。菖蒲湯自体匂いはそうありませんでしたが、まあ縁起物ですね。さて、果たしてこれで健康に過ごせるでしょうか。
 前回の入浴記に追記もしておきます。脱衣場の男女仕切には、小さな斑柄の招き猫が置いてありますが、左手が手招きしてると言うよりも、口の横をこすっているような仕草でなかなかラブリーです。男女仕切の奥に置かれたテレビのテレビ台には、熊の彫り物、五円玉細工の宝船、ダルマ、白鳥の置物という4点セットが納まっていました。横には恵比寿神社の熊手も掛かっています。
 ここのお風呂屋さんは、ボディーシャンプーとシャンプーが設置されているのですが、その容器に「いしゃいらず」の文字がありました。医者泣かせの石鹸です(笑)。
 前回入浴時は、豆腐屋のような木綿の暖簾でしたが、今回は牛乳石鹸の房の短い東京型のものが掛かっていました。
 約一年ぶりに入湯した孫橋湯。山椒は小粒でぴりりと辛い、小さいけれどそんな表現が似合うお風呂屋さんです。
(2003.6.6追記)



 孫橋湯は、裏通りにありますが京阪電車の三条駅から徒歩2分ほどの立地です。待ち合わせの待ち時間に一風呂あびれそうな勢いです。さて、誰もが一度は渡る東海道の西の起点三条大橋。木の欄干に銅製(?)の擬宝珠は昔を彷彿させますが、擬宝珠一本一本に年号が入っているのはご存じでしょうか?多くの擬宝珠には、天正18年(1590)の年号が入っています。三条大橋の起源については不明ですが、天正時代に豊臣秀吉により本格的な橋となったそうです。擬宝珠は400年以上三条の往来を見ているのでした。全部で10本ある擬宝珠、9本までは天正のものですが1本だけ昭和のものが混じっています。昭和10年の洪水で1本が流され、昭和25年に新しくされたものです。散歩がてらその1本を探してみるのも面白いのではないでしょうか。

 食べ物の話も一件付け加えておきます。三条京阪も京津線が地下にもぐりすっかり景色が変わってしまいましたが、北側にある一角は昔の面影を留めています。そんな中の一軒「篠田屋」さんのご案内です。
 おそらく多くの方が、「ああ、あそこの店ね」と思われるでしょうが、実は実はとっても中身のあるお店なんですよ。外観は、コカコーラのトタン看板に篠田屋の屋号。一見駅前の食堂風ですが、提灯には「中華そば」と「にしんそば」のダブル看板商品が書かれています。
 まず食べておきたいのが中華そばです。ラーメンとは呼ばずに、中華そばと声に出して注文しましょう。出汁は透き通った醤油ベース。チャーシューとネギが乗り、最初から胡椒がふられているその姿はまさに中華そば。懐かしい感傷に浸れます。値段はなんと400円。向かいに新しく出来た山頭火の行列を横目に篠田屋に入れば、心も財布も暖かくなること間違いナシです。
 次にお勧めはカレーライス。こちらはお値段450円。ジャガイモがゴロゴロ入った家で作ったカレーを彷彿させます。大盛りにしてもなんと30円増しの480円。信じられます?
 それにこのお店の床がステキなんですよ!15mm角ぐらいの細かいタイルのモザイクなんですが、パステル調の色を駆使してとっても斬新です。それに加え天井は格天井。入口は観音開きの古い木の扉です。ステキなタイル使いに、格天井とはお風呂屋さんと共通しているじゃあありませんか。
 駅に近いだけあって客層もいろいろ。お昼時は近くのお店で働く人や、サラリーマン風の人、学生風の人と様々。暇な時間帯には、犬の散歩途中に立ち寄る方も見掛けました(ワンちゃんも心得た物で、お主人様のテーブルの下におとなしく寝転がってました)。入りやすいお店ですので是非一度どうぞ。土曜定休、営業時間10:30〜19:00まで。(2004.1.11追記)

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る> 

 


 

柳湯

左京区新柳馬場通仁王門下ル菊鉾町332 営業時間:16:30〜24:00 定休日:月・火曜日
京阪「京阪三条」下車 徒歩5分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/05/25
    2003/03/20

 三条通りの花見小路を一筋上がると、角にあります。表は格子のあるレトロ銭湯です。入り口には「御迷惑ながら、左京浴場組合申合わせにより本日より左記の通り営業時間を厳守致しますのでご了承ください」と謹告が掲げられています。
 このお風呂屋さんは、中も古いまま残っており浴室の入り口の上に男湯から女湯にかけて横に長〜いタイルのモザイク画があります。男湯の方は、比叡山をバックに、平安神宮の庭園らしき池と橋殿が描かれています。京都にあっても京都の絵柄のタイル絵はあまりなく、そういった意味でも貴重な一軒です。
 浴室内は、浅風呂、深風呂、岩風呂風のぬるめの浴槽、水風呂の4つの浴槽があります。
 写真を撮りに行ったとき営業時間少し前でしたが、洗面器を風呂敷で包んだおばあちゃんが前に座り込んで、暖簾が掛かるのを待っておられました。営業時間の短さといい、週休2日といい、中の設備といい、空き具合といい悪い要素が揃っていますが、その外観、中の様子は銭湯好きにとってはたまらないものがあり、がんばってほしいお風呂屋さんです。


 この柳湯さんに入ったのはお風呂屋さん巡りを始めて3軒目でした。入浴記も不十分なので加筆しておきます。
 しばらく休業されていた柳湯さんが再開されたと言うことで、入ってきました。百数十軒回ってから再び来てみて、脱衣場のタイル絵のすばらしさを改めて感じました。まず、構図が京都であること、そして状態が非常に良いこと。いつまでも大事にして欲しいタイル絵です。前回の入浴記には漏れていますが、脱衣場の浴室入口部分には柳に飛びつくカエルのタイル絵が、洗面台横には岬の灯台とヨットが描かれたタイル絵もあります。
 浴室内も書き足しておくと、奥の岩風呂風の浴槽のタイルは、不揃いの懐かしいタイルの中に蟹や貝の形をしたタイルが散らしてあります。また、水風呂のタイルは五色というにはちょっと色が足りませんが、いろんな色のタイルが使われていてなかなか見た目に楽しい浴槽です。一般的なものですが、水風呂にはライオンの水吐き、半円形の深風呂、浅風呂の中央には女性の膝の上の瓶からお湯が出る湯口が付いています。
 ひとつ不可思議なものもあります。鏡広告で「ミヅハシ」とだけ書かれたものが2枚あり、住所も電話番号も業種も何も書かれていません。広告として成り立っていないんです。「ミヅハシ」ってなんなんでしょうか?
 しばらく休業されていたんで、お客さんの入りが心配だったんですが私の行ったときは、結構常連さんで賑わっていて一安心です。BBSに遊びに来てもらった柳湯常連のみかつうさん、再開の情報ありがとうございました。みかつうさんの言葉を借りるなら「みんなで行こう!柳湯へ」です。
(後半2003.03.20加筆)

 さて、この一角の通り名。新柳馬場だの新麩屋町だの鴨川以西の通り名に「新」がついた通り名が並んでいます。ものの本によれば宝永5年(1708)の宝永の大火で京都市中が焼けた後、御所や公家町の拡張整備のため、現在の丸太町以北、烏丸以東の町屋地区の住民が立ち退きになりこの地区に旧地の通り名を持って移住したためとのこと。移ったとは言え、通り名は元の順番に並んでいます。ただし、同じ道でも一筋越えると通り名が変わるので、注意が必要です。

 <メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>

 


 

塩湯
2006.1.25廃業

左京区新堺町通仁王門下ル和国町372 営業時間:16:00〜24:00 定休日:木・金曜日
市バス「東山仁王門」下車 徒歩4分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/06/12
    2003/02/04

 仁王門通りを川端から東に入り,新洞小学校を越えて右に入るとあります。バイクだと仁王門は西行き一方通行なので、東大路から入ることになるのですが小学校まで行くと行きすぎです。近くの柳湯に続いて塩湯も外観がレトロなお風呂屋さんです。格子のはまった窓に二色の暖簾が鮮やかです。写真では見えませんが、番台の上の方にあるガラス窓の四隅には飾りが付いていたり、細部まで丁寧な造りには感心します。
 脱衣場は、入ってすぐ土間に番台がある古い造りで、このあたり柳湯と双璧です。男女壁側には、按摩機に並びルームランナーのような歩行器、ぶらさがり健康器、バイクマシンと家庭用健康器具3種の神器が並んでいます。その隣にベンチがあり、新聞2紙が読めます。この脱衣場、めずらしく冷蔵庫はありません。浴室には、電気風呂、ジェット付の浅風呂、深風呂が男女壁側に、健康風呂(バスクリン?)、水風呂が脱衣場側にある構成です。よく水風呂についているライオンの口ですが塩湯には、電気風呂にも付いています。もちろん水風呂にも、やや小振りなモスグリーンのものが付いています。深風呂と浅風呂の間には腰掛けた女性の膝にある瓶からお湯が出る湯口もあるのですが、水の中のカルシウム分でしょうか、析出してかなり白いお肌になっています。
 男女壁にはタイル絵もあります。大きさはタイルが縦3枚、横4枚と大きくありませんが、男風呂には2つあり、ひとつは渓谷を筏が下っていく様子、もう一枚はアルプスらしき山と渓流が描かれています。
 半年ぶりに行きましたが、今回は番台がおばあちゃんでした。かなり高齢です。浴室の方から見ると番台の中に埋まってしまってるような感じです。この外観、内装にしてこのおばあちゃんあり。みなさんも会いに行ってください。
 ちょっと奥まっていて分かりにくい場所にありますが、結構穴場的お風呂屋さんだと思います。(2003/02/04加筆訂正)

 塩湯のすぐ近くを東西に走る仁王門通りですが、まっすぐ東に行くと道なりに南禅寺前から蹴上に通じています。私は長い間南禅寺に由来する通り名だと思っていたのですが、実は塩湯の目と鼻の先にある頂妙寺の仁王門に由来しているそうです。柳湯のところで触れました宝永の大火(1708)のまだ前、1672年御所の南にあった頂妙寺が二条の川東に移ってきた際、このお寺の仁王門にちなんで通り名が付けられたとのことです。この仁王門通りの川端から東大路の間はお寺がつならっていますが、各寺の門の屋根をみるとほとんどのお寺に鬼瓦と共に駒犬のような瓦人形が乗っています。神仏習合の名残なのか、ご存じの方いらっしゃいましたら教えてください。

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>

 


 

明石湯
2008.4.30廃業

左京区二条通川端東入上ル難波町217 営業時間:16:00〜23:30 定休日:水曜日+第2火
市バス「川端二条」下車 徒歩2分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/07/11 22:30
    2003/11/15 22:30

 二条大橋を東に渡り、3筋目の路地を左に折れた所にあります。左右の民家の壁が切れた所に、ぽつんと明石湯があります。こぢんまりした、小さな銭湯です。脱衣場も浴室もコンパクトに出来ています。しかし浴槽のひとつ一つは小さいですが、深風呂、浅風呂、ジェット、泡、健康湯、水風呂と種類は揃っています。ジェットと泡風呂がドッキングした浴槽は、下からネオンが点滅していますし、浅湯のお湯は壁にしつらえられた岩の間から流れ出てくる趣向です。健康風呂は初めて見る「桜」というものでした。桜の湯と聞けばほんのりピンクに色付いているのかと思いますが、残念ながらかき氷の苺シロップのような色合いでした。最初浴室に入ったときには、4人の先客がありました。年格好の似た60前後の三人組のお客さんだったのですが、近所の常連さんらしく3人仲良く体を洗っておられました。楽しそうなおしゃべりは、その内容が健康のことについてでなければさながら中学生の修学旅行で一緒に風呂に入っているその様です。あがる際の挨拶も
「お先です」(と多分言っていた)
「ごめんやす」
あ〜、京都ですなあ。


 二回目の入湯です。
 脱衣場の様子を少々書き足していきますと、ここは珍しくロッカーが男女仕切側にあり、反対側に大きな鏡がある造りになっています。ポスターが何枚も貼られているのですが、なぜか船関係が多いのが特徴です。船も南極観測船から豪華客船まで幅広く、ノンジャンルといった感じです。ほかにも山口ひろみという演歌歌手のものや、ジョントラボルタがポーズを決めているサタデーナイトフィーバーのもの、夏目雅子の顔だけ切り抜いたものなんかもありました。
 飲み物関係が入っている冷蔵庫は、珍しく学生の下宿にあるようなちっちゃい赤のツードア冷蔵庫が置かれていました。冷凍庫は使用禁止で封鎖されています。
 ほかのものとしては、仕切壁にハデな前掛けの招き猫、体重計は寺岡式の朝日衡器の貫匁併記と言ったところです。
 浴室の方ですが、健康薬用風呂は今回も「桜」でしたので、これは年中変わらないようです。色は前回かき氷のイチゴシロップと書いていますが、表現を変えるとラズベリーと言ったところでしょうか(あまり変わらないか)。
 前回気付かなかった点として、この浴場は鏡広告の会社が2社入っています。「関西通信」と「日新」。どちらも京都のお風呂屋さんではよく見る二大広告会社ですが、両方あるっていうのは珍しいと思います。関西通信に至っては、鏡によって電話番号が違うバージョンも含まれていました。
 今回も仲の良さそうなおじさん二人組と居合わせたんですが、前に書いたおじさんと同じかなあ、同じような気がするなあという明石湯さんでした。(2003.11.17追記)

 

 明石湯の近く二条大橋東入に加藤順漬物店があります。小さなお漬け物屋ですが、ここの菜の花漬けは春を感じる一品です。菜の花の苦みがなんともいえず「あ〜、春やなあ」と感じさせてくれます。ねんがら年中あるわけではありません。春先のものです。東京から京都に帰ってきて改めて思うのは、京都ってこういう季節ものが随所にちりばめられているんですよねえ。そして、それが当たり前のように繰り返される町なんだと最近思うようになってきました。多分京都に住むひとり一人、その季節ものに違いはあるんでしょうが、だれでも何かしら持っているような気がします。

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る> 

 


 

菊水湯
2014.9.20廃業

東山区三条通南裏白川筋西入土居ノ内町456 営業時間:15:00〜24:00 定休日:水曜日
地下鉄「東山」下車 徒歩2分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/06/17 23:30
    2003/07/04 23:00

 東山三条を一本下がり、古川町商店街を抜けた所、ロージの風呂屋といった感じのロケーションにあります。最近改築されたようで一見風呂屋らしからぬ門構えであります。
 入り口を入ると左手にフロントがあり手前が男湯、奥が女湯になっています。脱衣場も、浴室も新しくきれいで気持ちいいです。サウナは、脱衣場の一部にせり出すような形で作られているのですがこのサウナが脱衣場、浴室の広さに比べ不釣り合いに広いのです。広くて不都合は何一つ無いのでプラスポイントです。はい。
 浴室は、奥から電気、浅風呂兼ジェット、深風呂、シャワーブース、水風呂の構成になっています。天井が低いので、湯気抜きの天窓が無いのかと思いきや、ちゃんとありました。でも湯気抜き部分が縦に長く,浴室の上に2階部分があるのかもしれません。この風呂屋で特筆すべきはジェット風呂。浅風呂の一部が深くなっており腰掛けられる様になっているのですが、腰の部分と足の裏からジェットが当たるようになっており、この足の裏に当たるジェットはえもいわれない心地よさなのです。


 2回目の入湯で補足を少々。前回サウナがとてつもなく広いように書いていますが、6人ほど入れるサイズです。でも全体のバランスからすると、広いのは確かです。脱衣場、浴室ともこぢんまりしているんです。
 脱衣場にはマンガの単行本や週刊誌が置かれていて、小学生が風呂上がりにマンガに熱中していました。また、壁には復刻版でしょうか、古めかしい「入浴時の悪い習慣」という絵入りの注意書きがありました。注意書きの絵は、日本髪の女性が、木でできた浴槽がある風呂場に数名書かれていて、子供の頭を剃っていたり、浴槽の中で体を洗っていたりと、やってはダメなことが描かれています。横にある注意書きの一文には「不潔な黴菌を感染する原因となる」と書かれています。この注意書きには、第九五回と書かれていたんですが、こんな注意書きが100個近くあったのでしょうかね。
 あとこのお風呂屋さんは、かなり接客に気を遣われている印象です。私が行ったときは、フロントにはご主人が座っておられましたが、帰りは女将さんに交代され、ご主人もロビーで接客をされていました。入ったときの「いらっしゃいませ」は勿論のこと、帰りの「ありがとうございました。おやすみなさい。」も一人一人に丁寧におっしゃってましたし、ご主人は顔なじみのお客さんに対して、「今日は○○でしたね」とか「先日はどうも」とか何かしら必ず声を掛けておられました。そんなご主人と女将さんを慕ってでしょうか、なかなか盛況な菊水湯さんでした。(2003.7.5追記)


菊水湯のすぐ近くに古川町商店街があります。錦市場はサンダルでいけないが、古川町商店街ならOKという感じです。より庶民感覚の商店街です。生鮮食料品を扱う店も多くそぞろ歩くのにはもってこいの商店街です。散策後、菊水湯に立ち寄るのもいいかもしれません。
 
 普段は大衆酒場だ、ラーメン屋だと周辺案内で言っている私ですが、今回はちょっと違う所を見せましょう(笑)。古川町商店街は、本当に庶民的な気安い商店街ですが、その中ほどに商店街に似つかわない(失礼)「エクボ」というゴハン&ワインの店があります。店内は、カウンターとテーブル席のならぶとってもおしゃれな空間です。昼の営業ではデザートまでついたランチが850円からありますし、夜は好きなメニューを3品選べるセットメニューが2900円からあり、お得です。また夜の深い時間には、バーとしてワインやカクテルが各種揃っています。私は夜しか行ったことが無いのですが、ソムリエの方がおられ、ワインについて細かく希望を聞いてくださいますし、また解説も丁寧です。そして料理の方もどれもおいしく、はずれがありませんでした。こう書いても、堅苦しい雰囲気は全くありませんので、お気楽に行ってみてください。営業時間は、12:00〜14:30/17:30〜24:00 第一水曜休です。(→エクボの入口)
 そしてもう一軒。こちらは広東料理の「ぎをん森幸」というお店です。こちらは、エクボから白川沿いに出て、もう少し知恩院の方に言った所にあります。このお店の料理がおいしいのは勿論のこと、各種紹興酒が揃っています。中国産の他、台湾産との飲み比べも可能です。また、店内には瓶仕込みの瓶が置かれ、そこから直接すくって出してくださるので、視覚的にもおいしさを味わえます。夜だと3000円、4000円、5000円のおまかせコース(2名以上)があります。昼はお手頃なランチもやっておられます。営業時間は11:30〜2:00/17:00〜21:30 水曜休みです。(2003.7.11追記)
 

 

 <メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>

 


 

若松湯
2006.1.25廃業

東山区三条通北裏白川筋西入石泉院町395  営業時間16:00〜23:00 定休日:日曜日
地下鉄「東山」下車 徒歩5分

詳しい地図を見る

入湯日:2002/06/29 22:30
    2003/03/15

 神宮道の三条から一筋北を左に曲がりずっと行くとあります。この銭湯目立った看板もなく見落としてしまいそうになります。実際この銭湯の前は何回も通っていたのですが、気付きませんでした。でもすばらしいロケーションにあるんです、実は。何故かと言いますと、6月になると白川で蛍が見られますが、その蛍が見られる橋のすぐ近くにあるのです。風呂上がりに洗面器片手に蛍狩り。憧れるじゃありませんか。また、この白川に架かる橋の脇は並河さんという古い立派なお宅があります。京都新聞に書いてありましたが、並河さんは京七宝の創始者の方でパリ万博でグランプリを受賞されたそうです。もちろん公開はされていませんので外から見させて頂くだけですが,十分に見る価値有りです。
 
 本題の若松湯ですが、この銭湯ぬる党の私にとって浴槽のお湯がすこぶる熱いんです。草津よりも熱い、いや野沢よりも熱い。それくらい熱いのです。しかもうめようと思って、水のコックをひねるのですが水が出ない・・・。私にとっては山伏でも一緒にいてくれないと3分と入っていられない。(笑)そんな若松湯ですが他になかなかないものがあります。タイル絵です。脱衣場の洗面台の横手にあるのですが、ここにあるのは、細かいタイルをモザイク状にしたものではなく直接タイルに筆で描いたものです。しかもその絵が!出ました富士山です。手前に湖。湖面には帆掛け船。左手に松。と絵に描いたような(実際に絵なのだが)風呂屋の絵なのです。京都に富士山の絵はなかなかありません。大きさはそれほど大きくありませんが貴重品です。


 長い間この若松湯は心残りでした。何故かというとなるべく悪いことは書かないようにしているのですが、ここだけは熱くて入れなかったと書いていたからです。お風呂屋さん巡りを始めて最初の方だったこともあり、あまりいろいろ書いてない上に、熱くて入れないなんて、誰も行きませんよね。ということで2回目の訪問。上と合わせて読んで下さい。
 2回目は、花灯路に行く前にちょっとひとっ風呂ってことで手ぶらで行きました。貸しタオルを借りたのですが、何と料金は5円。洗濯代も出ないんじゃないの!と驚く安さです。脱衣場の様子を前回はタイル絵しか書きませんでしたが、番台上にはお稲荷さんの神棚、天井には三枚羽の扇風機、壁には辻商店贈の大入り額、金の招き猫もあります。また体重計は昔懐かしい貫匁表示のものです。冷蔵庫には、冷やしあめやシーホープ、メロンソーダなどお風呂屋さんドリンクも揃っていますので是非どうぞ。冷蔵庫の上には、なぜか使われていないMacのLC630という型のパソコンがありました。これ私が昔使ってたパソコンと同型です。
 浴室はシンプルな造りで、奥に大きな浴槽があり深風呂、電気風呂、ジェット&泡風呂を備えています。水風呂がありませんが、出口近くに水シャワーコーナーがあります。さて問題のお湯の温度ですが、この一年で鍛えられたのか、はたまた前回が熱かったのかは分かりませんが、今回はちゃんと入れました。でもやはり熱めは熱めですけどね。
 今回地下鉄の東山で降りて行ったのですが、東側の出口を出ると白川のすぐそばに出ます。そうすれば若松湯までは1,2分です。東山散策の折りにどうぞ。(後半2003/03/16加筆)

 追記:上で見るだけでも十分と書いた並河さんのお宅ですが、2003年4月から「並河靖之七宝記念館」として見学できるようになりました。建物は明治27(1894)年建造で、国の登録有形文化財にも指定されているそうです。また展示は、七宝の作品と合わせ、制作に使われた道具類も展示され、制作過程も分かるようになっているそうです。1・2・8月と年末年始と月・木(祝日の場合は翌日)休館。


 以前から気になっていた「並河靖之七宝記念館」にようやく行ってきました。今回は春の常設店で「七宝の植線美」がテーマ。京都新聞に記事が載っていたので、切り取って置いておいたのです。
 七宝は間近で見ると本当に細かい細工がされています。並河靖之氏の七宝は「有線七宝」という技法で、輪郭線に金や銀の線をテープ状にして貼り、線の間に釉薬をさして焼成・研磨を繰り返す技法なのだとか。1900年のパリ万博で金賞を受賞されるのですが、海外にもかなり流出しているようです。
 と七宝のことを書きましたが、実は建物と庭が非常に気になっていたのが正直なところ。明治27年に建てられたという表屋造りの建物に、御殿造の主家が続くという珍しい構造なのですが、いや〜いいお宅です。通り庭(台所)も見学できますが、釣瓶井戸がある非常に立派な造りでした。そしてなによりの見どころは、お庭が7代目小川治兵衛さんの作というところ。7代目は琵琶湖疎水の水を作庭に活かしたことで有名で、平安神宮の神苑や無隣庵、円山公園なども同氏の作。その中でもここの並河邸の庭は、もっとも早い時期に作られたものです。
 座敷の縁側に座り庭をみていると、いろんな生き物が楽しめます。池の鯉はもちろんのこと、亀、小魚、そ、そしてなんと鴨までいるではありませんか! どうも白川の鴨が住み着いているようです。いや〜、それにしてものんびりしています。春の常設展の最終日でしたが、居合わせたお客さんは他にひと組のみ。ゆっくりと楽しめたのでした。
 あと1ヶ月もすれば、白川に蛍が舞いだす季節。若松湯、蛍とあわせて是非「
並河靖之七宝記念館」も一緒にどうぞ。
(2005.4.23追記)
 ここを訪れたのが4月17日だったのですが、18日に本能寺の前を歩いていると「並河家葬儀」の文字が。夕刊を見ると、並河靖之さんのお孫さんでしょうか、並河靖之七宝記念財団理事長の並河靖さんが、17日にご自宅で亡くなっておられました。ご自宅は三條白川北裏・・・記念館の住所です。前から気になっていて初めて見に行ったときに、ちょうど亡くなられたというのは、偶然とはいえなにか不思議な感じを受けました。ご冥福をお祈りします。

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>

 


 

桜湯
2004.10.31廃業

左京区聖護院山王町28  営業時間15:00〜24:00 定休日:土曜日
市バス「熊野神社前」下車 徒歩2分

 

詳しい地図を見る

入湯日:2003/03/19 22:00
    2004/10/28 23:00
    2004/10/31 23:00

 

 熊野神社近くの桜湯です。丸太町通りからだと、飲み屋さんの連なる細い路地を入っていきます。このお風呂屋さんは、入る前にちょっとびびってしまいます。何故かと言いますと、向かいの家には「騒音被害者の会会員」の札が掛かっており、深夜に話し声がうるさいだの、籠を床に叩き付ける音がうるさいだのいろいろと看板に書かれているんです。静かにしましょう。
 さてさて、桜湯さんの方ですが、路地の奥のこぢんまりしたお風呂屋さんながら、きれいに改装されています。脱衣場もさっぱりとしていて、飾り物といえば番台上の神棚と、小さな絵が一枚掛かっているぐらいです。籠は黄色のプラスチック籠が入口近くに積まれていますが、ロッカーを開けるとフェイントで柳行李が入っていました。気づいた時には、もう半分以上脱いでいたので、行李は出して入れ替え作戦です(笑)。
 浴室も天井以外は完全に改装されています。床にうぐいす色のタイルが使われているのが特徴的です。浴槽の配置は、奥に打たせ湯のボックス、男女壁側にバスクリンの薬湯(今月はアロエ)、深風呂、ジェットと泡風呂がある浅風呂が入り組んでおり、脱衣場側に打たせ水付き水風呂があります。カランは最近の改装の傾向でしょうか、半分ぐらいは男女壁から一本仕切を作り、背中合わせになるよう洗い場を作ってあります。
 壁のタイルはほとんどが白色系ですが、浴室奥の天井近くにはプラタナスらしき、大きな木をプリントしたタイル絵が男女一つづつあります。これが桜だったら、さすが桜湯となるところですが、なぜが秋の雰囲気漂うプラタナスです。小さく右下にサインも入っていたので、もしかしたら有名な作家の作品なのかも知れません。
 ここのお風呂屋さんの特徴として非常に若者が多かったです。私が行ったときは3人ほど先客がいましたが、間違いなく私が最長老でした。その後、おじさんも入ってきましたが、平均年齢は30ちょっと切るぐらいかもしれません。若者ではないですが、後から入ってきたおじさん2人組が一畳ほどしかない打たせ湯のボックス内の浴槽に、向かい合わせで膝を抱えて入っていたのが、インパクトがありました。
 お風呂上がりに服を着ていると、番台のおばちゃんが女湯の注文で牛乳を2本取りに来られました。どうも女湯には冷蔵庫がないようです。まあそれは良しとして、2本取りに来られた内の一本は、その場で飲む用で、一本は明日の朝用に持って帰られたみたいです。お風呂屋さんの飲み物ってそういう利用方法もあったんだなと、感心した桜湯でした。


 BBSにとくさんから、10月末をもって閉店されるとの情報をもらい行ってきました。とくさん情報によれば釜がいかれての閉店だとか。風呂釜の寿命がだいたい10年と言われているので、跡継ぎのいないお風呂屋さんは壊れると交換するのか迷われます。交換に200〜300百万掛かるというお話しですので。
(写真は丸太町通の路地入口にある看板。10/31撮影。と頂いた柳行李)
 さて、お風呂の方は前の入浴記に書いているとおり今回も若いお客さんが多く入っていました。今日は2歳ぐらいの子供を連れたお父さんも来られてました。お風呂自体は、きれいに改装されていますし、廃業されるのは信じられないぐらいです。浴槽中央のリンゴ型噴水もきれいに弧を描いてます。
 閉店のお知らせは浴室入口に貼られ、ガラスケースのシャンプーなどは半額特価で売られていて残りも僅かとなっていました。風呂上がりに牛乳を飲みながら番台の女将さんに話を聞くと、こちらに移ってきて52年とのこと。ということは・・・1952年か。昭和28年ですね。お疲れさまでした。
 桜湯は、黄色のプラスチック籠もあるのですが、ロッカーを開けると柳行李が入っています。昔は修理の人が定休日に直しに来てくれたという話も聞かせていただきました。そんなお話しをしていると、柳行李をひとつ頂けることになりました。ロッカーをひとつひとつ開けて下さりきれいそうなのをということで「19」の番号が入ったものを頂きました。(上写真)ありがとうございました。(2004.10.28追記)

 行李をもらったこともあり、最終日の閉店間際にも桜湯へ。番台にちょうど女将さんもおられお礼を言えてよかった。脱衣場に入るとちょうどまささんも来たところで、一緒に入ることに。最終日でタダということもあるのでしょうが、超満員。それもみんな学生。京大生が連れ立って来ているのでしょう。カランが全部埋まっている様子は壮観でした。
 廃業情報を知ってから3回も入りに行ったというぼたにーさん情報によれば、平成7年に改装されていたとのこと。浴室は明るくタイルもきれいで、これが廃業されるお風呂屋さんかと疑いたくなる感じです。長い間ありがとうございました。お疲れさまでした。(2004.11.5追記)

 頂いた柳行李ですが、なるべくきれいなものを選っていただいたものの、糸のほつれや竹を巻き締めてある籐がささくれているなど、傷みが来ていました。もし修理が出来るなら、この先50年ぐらい使えるように徹底的に補修をしておいてもらおうと、京都で柳行李を扱っておられた粟津屋商店さんに伺ったのですが、もう補修する材料もないとのこと。現状のまま大切に使うしかないのですが、名前を入れてもらうことにしました。
 粟津屋商店さんによれば、元の数字は削り炭に膠などを混ぜて書かれているそうで、専用の型に合わせて書いたものなんだそうです。19と言う数字は、私の生まれた日の数字でもあったので、消すのは少し惜しいようにも思われたのですが、スポンジで擦り、苦労しながらも消しました。
 その後、知り合いの方を通じ提灯屋さんに文字入れをお願いし、写真の様になったわけです。最初見たときは、イメージよりも元気よく書かれていたのでビックリしましたが、眺めているとなかなか愛着が湧いてきますよ、これは。ちなみにウィルの反対側は、普通に名字が入っています。
(2004.12.10追記)


 桜湯のあるのは、熊野神社の交差点のすぐそばです。この交差点の南西側に株式会社イシダの本社があります。イシダと聞いてすぐピン!と来た方は、かなりこのサイトに毒されていますね(笑)。明治26年創業、京都の老舗計量器メーカーで、そうです!お風呂屋さんの体重計の一大メーカーです。脱衣場で貫匁表示のイシダの体重計を見ると、さすが京都のお風呂屋さんどすなあとなるわけです。会社の一階はショールームで、最新の製品が並んでいますが、四階には「ハカリの小歴史館」も併設されています。私も京都新聞で見ただけで、実際に中には入っていませんが、江戸時代の両替天秤から、明治時代に盛んに使われた棒天秤など歴史的に貴重な資料が約60点ほど展示されているそうです。興味のある方は事前予約が必要ですので同社広報室075(771)4141に問い合わせてください。土日祝休館ですが、入場は無料です。
 熊野神社の交差点でもう一つ。ここから北東のエリアを聖護院と言いますが、聖護院といえば「かぶら」と「八つ橋」でしょうか。聖護院かぶらは、もちろん千枚漬にするかぶらです。この辺りにもう畑は残っていませんので、地名だけが残っている京野菜です。
 一方「八つ橋」ですが、言わずと知れた京都土産の定番です。交差点にも八つ橋を売る店がありますが、丸太町の一本北を東に行けば、昔ながらの店構えの八つ橋屋さんが向かい合っています。私は長い間「八つ橋」という名前の由来は、庭園の池に架かる長方形を二つ合わせた「八つ橋」だと思っていたのですが、八橋検校という江戸時代の筑紫箏(こと)の名人に由来しているそうです。以前読んだ本の中に、初めは上菓子として売り出されたものが、修学旅行生向けに安価な土産物として売り出したところヒット商品になったという話があったんですが、その本がなんだったかメモってないんですよねえ(汗)。また見つけたら書き足すかも知れません。とりあえず、今はこんなところで。
(左:西尾老舗、右:聖護院八つ橋)

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>


 

常盤湯

左京区岡崎黒谷町15 営業時間16:00〜23:30 定休日:月曜日
市バス「岡崎道」下車 徒歩4分
常盤湯は2012年2月16日の火災で全焼しました。1日も早い再建をお祈りします。

詳しい地図を見る

入湯日:2002/10/29 22:00

 今回は、黒谷さんの近くにある常盤湯に行って来ました。珍しく千鳥破風のある外観です。入り口は、男湯と女湯が左右に大きく分かれた造りです。しかし暖簾をくぐり右側の引き戸を入ると下駄箱スペースは女湯と繋がっています。勇気があれば女湯の暖簾をくぐってもまったく問題なしです。さらに引き戸を入ると脱衣場です。
 脱衣場はあっさりさっぱりといった感じで目立った装飾品などはありません。壁際や角に体重計、マッサージイス、宝飲料の冷蔵庫などが置いてあります。ロッカーは珍しく上二段のみ扉付きで下三段は籠を入れる棚になっています。籠は黄色のプラスチック製、床は勿論籐筵です。浴室内は改装されていてきれいです。奥に水風呂と5人程度入れるサウナが並んでいます。サウナのBGMは珍しくラジオでしかもラジオ大阪です。行った日が日本シリーズ三戦目の日だったからかも知れませんが、近鉄バッファローズファン以外京都で聞いている人を私は知りません。(ラジオ大阪に勤めている先輩ごめんなさい)あと女湯との壁に沿って奥から深風呂、ジェットが2カ所ついた浅風呂、電気風呂、泡風呂になっている薬湯と並んでいます。
 この銭湯で何を書かなくっちゃいけないかというと久々に貸し切り状態を体験しました。行ったときに男湯は誰もいませんでした。私は最初にサウナに入るのが常なのですが、サウナに入っているときに来た50代ぐらいのおじさんと終始二人で、帰るときにやっと学生のお兄ちゃんが来て、私のいたときのお客さんは計三人。女湯ではずっとおばちゃんの話し声が聞こえてましたので数人はおられたと思います。決して設備が見劣りするわけでもなく、改装されていてきれいなのにもったいない限りです。
 こういう銭湯では飲み物の2,3本も買いたいところですが、買ったからといってどうなるわけでもなく、普通に城南鉱泉のユーミーの瓶に入ったフルーツサワー(80円)を飲みました。冷蔵庫内の商品の数は少ないですが牛乳からビール、レア物ドリンクまで種類は揃っています。城南鉱泉のサクラサイダーや冷やしあめ、ラムネなどもありました。ちょっと分かりにくい場所ではありますが、庶民派銭湯常盤湯さん頑張ってください。・・・後日談ですが、常盤湯の近所の方に聞いたところ早い時間は結構盛況のようです。安心、安心。

 常盤湯は、黒谷さんの門前を南に入ったところにありますが、黒谷さんの正式名称は金戒光明寺。でも京都では、「黒谷さん」の方がはるかに通りいい呼び方です。境内は多くの塔頭が立ち並びなかなか立派なお寺です。起源は古く法然上人にまで遡りますが、幕末には会津藩の陣営になっていたことでも有名です。境内の一角には会津墓地として幕末の志士の眠るお墓もあります。詳しい話はガイドブックやその手の本を読んで頂くことに致しまして、ここでは、天王町にある喫茶店「はなふさ」を紹介します。
 天王町は、白川通りと丸太町の交差点ですが、角にエッソがありその西隣のマンションの1階に「はなふさ」はあります。昨年(2001)まで、四条裏寺に京都で初めてサイフォンを使ってコーヒーを淹れはじめた老舗コーヒー店「はなふさ」がありましたが、四条のはなふさの息子さんのお店です。以前は「山本屋」の屋号で営業されていましたが、四条の「はなふさ」の閉店後、屋号を継がれました。コーヒー専門店らしくブレンド以外に、キリマンジャロやブルーマウンテンなど他にもいろいろなストレートのコーヒーを楽しめます。テーブル席とカウンターがありますが、1人か2人で行ったときはカウンターに座り、サイフォンで一杯一杯丁寧に淹れられる様子を見るのも楽しいお店です。専門店ですので、コーヒーがおいしいのはもちろんですが、レアとベイクドの2種類が用意されているチーズケーキも捨てがたいおいしさです。行かれたときは是非ご一緒にどうぞ。裏に駐車場もありますし、深夜2時までやっているのも嬉しいところです。天王町がEAST店で、金閣寺近くにはNORTH店もあります。営業時間:7:00〜26:00

 

<メインページに戻る> | <祇園〜平安神宮周辺に戻る>