銭湯関係文献資料

 
 ここでは私が読んだお風呂屋さん関係の書籍の紹介をします。
 これからもますます減って行くであろうお風呂屋さんの記録として、またお風呂屋さん巡りのガイドブックとして参考にしてもらえればと思います。
 掲載した書籍については、絶版になった本や、高価な本もあり、私は結構地元の図書館を利用しました。もし、自由研究や卒論で銭湯を取り上げようとされている方があれば、参考文献として利用して下さい。

書籍タイトル

著者

出版社

初版

浮世風呂

遠藤周作

講談社

昭和39年6月20日

「風呂」で検索していて見つけた一冊。表題作を含む短編集。現在も出版されているかは不明。以下文中からの抜粋。
「湯船に顎をうずめて、善之進は湯気のたちのぼる壁に描かれた、海と富士山との俗悪な絵をぼんやり眺めていた。」
昭和30年代の風呂屋観が垣間見れる一文だと思う。しかしこの文の後半を今風に言い替えると
「海と富士山とのキッチュな絵をぼんやり眺めていた。」となる。かなり印象が変わる。¥420-(初版)

浮世風呂-江戸の銭湯-

神保五弥

毎日新聞社

昭和52年12月20日

式亭三馬作「浮世風呂」の注釈を手掛けたことがある著者が、その際にひもといた文学資料をもとに江戸の銭湯についてその成り立ち、風俗、習慣、歳時記などをまとめた一冊。同書中に江戸の湯屋仲間組合が仲間内を対象に経営方法などを記した「洗場手引草」、江戸時代の大人向け絵本ともいえる黄表紙「賢愚湊銭湯新話(けんぐいりこみせんとうしんわ)」の現代訳が付いているのも資料的に非常に興味深い。¥980-(初版)

おふろやさん

西村繁男

福音館書店

1977年11月1日こどものとも
1983年11月1日
傑作選第1刷
2002年3月10日
 同第17刷

あっちゃんが、お父さん、お母さん、赤ちゃんとお風呂屋さんへ出かけるおはなしです。文章はなく全て絵で構成されていますが、細部までお風呂屋さんの様子を描写されていて見ていて飽きません。騒いでいたらおじいちゃんに怒られたり、刺青の人がなにげに描かれていたり、お風呂上がりに牛乳を買ってもらったりと銭湯ワールドの魅力たっぷりです。(この絵本はリンクさせてもらっているsixty_piko/pikoのkiki さんに教えて頂きました)¥800-(+消費税)

雄山閣BOOKS 16
入浴・銭湯の歴史

中野栄三

雄山閣

昭和59年1月20日

初版は昭和45年に「銭湯の歴史」として出版。昭和59年に改題され刊行された。また1994年11月には新装版が発行されている。内容は変わっていない。銭湯の歴史を一冊にまとめたパイオニア的一冊。
構成としては諸文献を基に、入浴史、浴場史、風俗について考察している。本書では明治維新や戦後など歴史的転換期には浴場的に見ても特殊な変化が起こっていると述べている。近年のスーパー銭湯の台頭もこれに当てはまるのだろうか。¥2,621-(+消費税)(新装版)

物語ものの建築史
風呂のはなし

山田幸一監修
大場修 著

鹿島出版会

1986年3月5日

入浴と浴室の歴史について建築という側面から考察している一冊。建物の図面や歴史資料にある挿絵、写真を多用し分かりやすく解説している。京都関係の話としては八瀬の釜風呂、西本願寺飛雲閣、妙心寺明智風呂について詳しく解説されている。著者の大場修氏は京都府立大学人間環境学部の先生で、2003年京都で開かれた第三回世界水フォーラムの分科会「日本における公衆浴場文化とその再生」ではパネラーも務められた。¥1,300-(+消費税)

京都おもしろウォッチング

赤瀬川原平
藤森照信 他
路上観察学会編

新潮社

1988年9月25日

1986年結成の路上観察学会の面々が、町中にある無用の超芸術や珍品を求めて京都を巡る内容。このなかに「京の銭湯を巡る」というコーナーがあり、西陣・藤森湯(廃業)、同・船岡温泉、深草・金つる湯(廃業)など13軒が紹介されている。特に深草にあった稲湯(廃業)のガラス絵がカラー写真で紹介されており、今となっては貴重な資料である。紹介されている銭湯の半分以上が既に廃業しており初版から15年という時間を感じるが、大型書店の京都コーナーには必ずあるヒット本でもある。¥1,456-(+消費税)

いま・むかし 銭湯
[INAX BOOKLET Vol.8 No.1]

INAXギャラリー

1988年5月10日初版
1989年12月第二版

INAXギャラリーで行われた「いま、むかし・銭湯」展と併せて刊行された冊子。現在では銭湯界におけるビッグネームになられた町田忍氏はじめ、山田幸一氏、藤森照信氏、大場修氏、花咲一男氏等々第一線級の方が総出演で寄稿されている。ちなみに町田氏のこの時点での肩書きは、造形作家で回った銭湯は約600軒となっている。時代感のある内容としては、テレビドラマ「時間ですよ」の裏側を紹介した記事もある。一時代を築いた総合レジャー施設「船橋ヘルスセンター」(昭和52年閉鎖)の顛末を追った記事は非常に興味深い。¥1,000-(+消費税)

中尾保写真集 銭湯浪漫

中尾保

光村出版

1991年4月17日

縦17B、横18B、50ページほどの小さな写真集で全国の銭湯を写真一枚ずつで41軒紹介。特に詳しいコメントや説明はないので、純粋な写真資料。京都からは北区西陣・船岡温泉(脱衣場の欄間と天井の彫刻)、東山区七条・大黒湯(空豆地蔵)、東山区六波羅・大黒湯(柳行李)、左京区吉田・千代の湯(脱衣場の整髪スペース・廃業)、舞鶴市・三笠湯(脱衣場ロッカー)の5軒が紹介されている。漫画家赤塚不二夫氏の出版に寄せての言葉あり。¥971-(+消費税)

銭湯へ行こう

町田忍

TOTO出版

1992年2月10日

ビジュアルな本なので写真集的にも見られる。全国の銭湯を解説付で紹介しているほか、煙突や桶、はかりなどの考察、ペンキ絵、タイル絵の紹介、さらには給湯技術のコラムなど盛りだくさんで一般人からマニアまでを広く対象とした銭湯学入門書といった感じの本である。京都からは西陣・船岡温泉、西陣・藤森湯(廃業)、伏見区深草・白山湯(廃業)、伏見区深草・萬寿湯(廃業)、東山区正面・正面湯、左京区下鴨・稲荷湯の6軒が紹介されている。¥2,233-(+消費税)

浮世絵で見るお風呂の歴史と文化
『入浴』はだかの風俗史

花咲一男・文
町田忍・写真

講談社
(講談社カルチャーブックス)

1993年2月20日

表題の通り浮世絵を通してお風呂の風俗史を探る一冊。江戸時代の銭湯やお風呂事情にまつわる習慣や風習などがビジュアルに解るだけでなく、風俗を風刺する川柳など当時の世相をよく表す資料が満載である。ほとんどがカラー刷りで浮世絵の色の鮮やかさも楽しめる。巻末には町田忍氏による現代の銭湯について解説するコーナーもある。¥1,456-(+消費税)

銭湯へ行こう 旅情編

町田忍

TOTO出版

1993年9月10日

1992年に出版された「銭湯へ行こう」の続編。前作同様ビジュアルな本で楽しみながら読める。中でも特にペンキ絵とタイル絵についてはページを多く割いて詳しく解説してあり、内容的にも前作よりさらに掘り下げられている印象である。京都からは、下京区祇園・祇園湯(廃業)が紹介されているほか、タイル絵のコーナーで下京区七条・都湯、西陣・船岡温泉が写真入りで掲載されている。¥1,262-(+消費税)

京の歴史と文化4戦国・安土桃山時代
絢 天下人の登場

村井康彦編
高橋康夫(関連部分)

講談社

1994年6月29日

京の歴史と文化シリーズの第4巻。この本の中に『「町堂」と「銭湯」と人々』という項があり、応仁の乱以後の京都の状況を外国人宣教師の見聞録や洛中洛外図屏風を手掛かりに検証し、この時期に遊楽へと変化していった入浴、銭湯の流行に付いて述べている。洛中洛外図屏風に当時の風呂屋の様子が描かれているのは非常に興味深い。当時の京都の街の様子や銭湯の事情を知る上で大変貴重な一冊である。¥2,524-(+消費税)

全国駅前銭湯情報'94〜'95

銭湯を愛する旅人の会

発売元:新日本企画
発 行:STUDIO銀河

1994年7月1日初版
同年10月20日3刷

鉄道旅行やツーリングを愛する旅人が、「一日の終わりは銭湯で」という発想のもと刊行した一冊。鉄道の路線別、駅別に地図やコインランドリーの有無などの情報も含め紹介されている。'93年版が最初で、その後情報を拡大し'94〜'95版、'96〜'97版と改訂版が出ており、現在は同名のHPが開設され情報を検索できる。京都からは京都駅周辺8軒の他、亀岡、綾部、東舞鶴などの情報が掲載されている。'94〜'95版¥1,325-。'96〜'97版¥1,632-(+消費税)

風呂屋の富士山

町田忍
大竹誠

ファラオ企画

1994年10月25日

風呂屋の背景画(主にペンキ絵)について歴史から、広告業との関係、絵師の方の紹介やインタビューなど丸ごと一冊背景画を語り尽くす内容。現在は引退や亡くなられてしまった絵師の方のお話など貴重な内容も豊富に含まれている。京都関係の話として伏見区深草の稲湯(廃業)に大変貴重な富士山と仮名手本忠臣蔵のガラス絵(ガラスの裏面から塗料で絵を描いたもの)があったことが記されている。¥1,456-(+消費税)

入浴の女王

杉浦日向子

講談社

1995年9月20日

NHK「お江戸でござる」で江戸の風俗を解説しておられる杉浦日向子さんは実は無類の銭湯好き。「小説現代」に15回にわたって連載された「入浴の女王」は、全国の繁華街にある銭湯に入浴し女湯の様子を観察、さらにその土地の女性に当地を語ってもらうという企画。やや下世話な文体であるが、娯楽本として面白い。京都では西木屋町四条上るにあった「明石湯」(廃業)が取り上げられている。¥1,500-(+消費税)

入浴の解体新書

松平誠

小学館

1997年5月10日

様々なデータを示しながら現代の入浴スタイルや入浴文化、温泉のあり方、果ては外国から見た日本の風呂文化までをやさしく説いてあり読みごたえのある一冊。企業が実施した調査結果などのデータが充実しているだけでなく、引用文献や資料を細かく注記してあり、この一冊からかなりの文献やデータの出典をたどることが出来る。卒論で銭湯を取り上げる場合は必携の一冊。ちなみに松平誠氏は京都大学文学部卒で執筆時女子栄養大学の先生。¥1,800-(+消費税)

お風呂考現学

江夏弘

TOTO出版

1997年5月10日

大きく分けてお風呂の歴史と、風呂の変遷について書かれているが特筆すべきは後半部分。お風呂の近代化を浴室の施工方法や浴槽の素材の面から考察しているのが特徴。著者が住宅設備業界の出荷状況などをまとめる社団法人日本住宅設備システム協会に在籍していたことや、 TOTO 出版の本であることから集合住宅やホテルにおいて、浴槽が樹脂製のものになり、ユニットバスに変わっていく過程はかなり詳しく書かれている。¥2,381-(+消費税)

シアワセの銭湯旅

図師真吾

けやき出版

1997年10月7日

全国の銭湯約850軒に入った著者が、特に印象深い銭湯24軒を取り上げ、綴った旅エッセイ。挿絵も自身で描かれている。京都からは「盛夏の京の珍道中」で嵯峨湯が取り上げられている。巻末には、著者が入浴した全国の銭湯850軒のリストも収録されている。図師氏は、東京の銭湯機関誌「1010」に以前コラムを連載されていた。¥1,500-(+消費税)

ぎふ銭湯ものがたり

大西隆夫

岐阜新聞社

1998年2月19日

岐阜県の小学校の先生が自ら一軒一軒を訪問し書き上げた原稿や写真を新聞社に持ち込み出版に至った本。平成9年時点で営業していた組合加盟全92軒と廃業した15軒について一軒一軒を写真付きで丁寧に紹介している。資料編には明治〜平成に至る岐阜県内の銭湯の軒数推移も収録。岐阜県の銭湯の記録資料として大変貴重な一冊である。「お風呂屋さん的京都案内」の目指す形のひとつがこの本にあると感じた。¥1,800-(+消費税)

スコッチと銭湯

田村隆一

角川春樹事務所(ランティエ叢書14)

1998年3月18日

主に1980年前後に発表された詩人田村隆一さんのエッセイを再編集したもの。そう「仁義すたれば銭湯廃る、銭湯廃れば人情廃る」の田村隆一さんである。表題にもあるように巻頭3/4ぐらいはスコッチに関するエッセイであるが、これはこれで興味深く読める。最後の第5章が「詩人と銭湯」というタイトルで東京の下町の銭湯に関する内容。山田洋次監督との対談も楽しいし、話の中に「硝子湯」なんてすてきな名前の銭湯も出てくる。¥1,000-(+消費税)

かながわの銭湯

高橋誠一

神奈川新聞社(かもめ文庫)

1998年3月31日

神奈川県内にある銭湯40軒についての入浴記をまとめた形になっている。文庫本で手軽である半面、ほとんどが入浴記の文章で占められるため、神奈川の地理に明るくない者にとってはやや読み難い面もある。巻末には各銭湯の住所、営業時間、休業日、設備などが分かる神奈川県内の銭湯一覧がある。¥695-(+消費税)

いらっしゃい北の銭湯

塚田敏信

北海道新聞社

1998年10月9日

第1部は「北海道の銭湯めぐり」と題して41軒の銭湯を紹介。第2部では「銭湯文化の写真館」と題して建物やのれん、装飾品などいろいろなものを取り上げている。巻末には北海道の全銭湯リストも収録されている。各銭湯の取材も丁寧に行われ、歴史資料としての価値も高い。著者の塚田敏信さんは、北海道生まれで、札幌にある高校の先生。¥1,700-(+消費税)

TOKYO銭湯ウォーキング

DANぼ書籍編集部

DANぼ

1998年10月10日

東京の散策コースとして「洋館散策コース」「相撲部屋巡りコース」など10コースを紹介し、そのエリアの銭湯や見どころなどを案内する内容。山と渓谷社から出ている「歩く地図京都」のような実際に散歩しながら書いているような形式。巻頭に永六輔氏と町田忍氏の対談企画が収録されている。この本は4年後に「廿世紀銭湯写真集」を編集する田端宏章さんが編集、取材、写真までこなされているのだが、写真集の試金石であったと思えばさらに興味深い。¥1,200-(+消費税)

銭湯浪漫湯気の中に人情が!

中尾保

文芸社

2000年1月5日

1991年に出版された写真集の内容をグレードアップさせた内容。写真もさることながら全国約180軒の銭湯で取材されたエピソードは銭湯の仕事や歴史にまつわるものから、地域、風俗に関するものまで多岐に渡る。大部分がテーマ別の聞き書き集のような構成になっている。京都府からは上京区・御三軒湯、北区・金閣寺湯、北区・船岡温泉など計9軒が紹介されているが、中でも舞鶴市の三笠湯については様々なエピソードが載っている。¥1,800-(+消費税)

銭湯の時間

疋田智
町田忍(執筆協力)

朝日出版社

2001年5月10日

東京の銭湯21軒をエッセイ風に紹介している。著者は某テレビ局の報道ディレクターで年齢も私とほぼ同世代。職業柄か時代の感覚や観察力が鋭く、また文体も親しみやすいので一気に読める。マニアっぽくない感じもいい。各章の終わりに町田忍氏による銭湯についての講義もある。筆者のもう一つの顔は、自転車ツーキニスト(自転車通勤者)。自転車通勤についての著書もある。¥1,300-(+消費税)

近世風俗志(四)
(守貞漫稿)

喜田川守貞著
宇佐見英機校訂

岩波文庫(黄267-4)

2001年10月16日

江戸時代に著され市井風俗を挿絵入りで幅広く記録した貴重な歴史資料。「守貞漫稿」は銭湯研究において避けては通れない。岩波文庫版が全5巻で発売されており、おそらく一番入手しやすい。銭湯については、第4巻(元は巻之二十五)に「沐浴」として紹介されている。江戸、京、大坂を中心に各都市の風俗、習慣、設備等の違いについて触れており、非常に興味深い。¥940-(+消費税)

銭湯の謎

町田忍

扶桑社

2001年11月1日

銭湯の歴史、建築、雑学についての100以上の謎を銭湯博士・町田忍氏が次々と解き明かしていく内容。楽しみながら銭湯の知識が身に付く秀作本であると共に、町田忍という人の偉大さを感じる一冊。素人が考えつく疑問については、ほぼ網羅してある。自由研究や卒論で銭湯を取り上げようとするならまずこの本を読んでアウトラインを把握されることを勧める。マジョリカタイルがふんだんに使われた西陣・藤の森湯(廃業)がタイルの項で取り上げられている。¥1,143-(+消費税)

廿世紀銭湯写真集

町田忍 監修
大沼ショージ撮影

DANぼ

2002年5月15日

銭湯文化を後世のために記録しておくことを目的に出版された写真集で、意図的に形の記録に努めている。全て英訳が付いているのも特徴。巻頭に銭湯の歴史や専門用語の解説集もある。銭湯の紹介では地区ごとに特徴を解説した後、各銭湯を解説付で紹介している。京都からは北区西陣・船岡温泉、中京区堺町・錦湯、左京区北白川・白川温泉のほか、外観のみだが上京区丸太町・桜湯、伏見区中書島・新地湯、中京区聚楽廻・人見温泉(廃業)、伏見区深草・萬寿湯(廃業)が収録されている。永久保存版の一冊。¥7,000-(+消費税)

銭湯読本
The New Life With SENTO

町田忍 監修

角川書店

2002年11月6日

2002年に公開された映画「水の女」に連動して出版された本。しかし、全国の銭湯を解説付で紹介するほか、銭湯入門として銭湯の歴史、入浴方法、ペンキ絵師、銭湯の仕事などについての解説がありあなどれない一冊。サンプル数が少ないのでなんともいえないが、銭湯の経験や何故行かないかなどのアンケート調査があり興味深い。結果として92%の人が銭湯経験ありと答えているのには、驚いた。京都からは中京区堺町・錦湯、北区西陣・船岡温泉、左京区北白川・白川温泉が紹介されている。¥1,500-(+消費税)

姫椿

浅田次郎

文春文庫

2003年9月10日

短編集「姫椿」に収録され、タイトルにもなっている短編「姫椿」。東京・表参道にある「椿湯」という銭湯が物語の主要な舞台として登場する。内容については、あえて触れないが、作者の浅田次郎氏は自ら一流の「サウニスト」(サウナ愛好者)とエッセイの中で書いておられるほどの風呂好き。銭湯に対する愛情を感じる一編である。¥514-(+消費税)
(注:単行本は2001年1月文藝春秋より刊行)

京都モザイク006
京都ノスタルジック散歩

発売元:青幻舎
発 行:桜風舎

2003年11月1日

「京都大衆酒場」や「京の古本屋」など個性的なラインナップが顔を揃える京都モザイクシリーズの第6巻。懐かしい味を中心に昭和の京都を満喫しようという一冊。この中に不肖ワタクシが選びました京都市内のお風呂屋さん5軒(西陣・長者湯、下鴨・栄盛湯、東寺・日の出湯、深草・宝湯、北白川・白川温泉)が紹介されています。また食べ物関係やその他施設などでもこのサイトのBBSで何度か話題になったお店や、私が周辺案内で紹介しているところも何軒か載っています。書店でパラパラと見て下さい。¥1,200-(+消費税)

京都極楽銭湯案内
 〜由緒正しき京都の風景

林 宏樹 著
杉本幸輔 写真

淡交社

2004年12月24日

京都初の銭湯案内本。「お風呂屋さん的京都案内」で案内したお風呂屋さんから、京都らしいところ、印象深かったところ53軒を厳選収録。お風呂の案内だけでなく、銭湯の周りの様子や、歴史についてもなるべく触れ、街と共に銭湯を楽しむことをコンセプトとしています。巻末には、京都府の浴場組合加盟の銭湯のリストを収録。執筆にあたっては、掲載店全店を再取材しました。このサイトと併せて楽しんでもらえれば光栄です。¥1,500-(+消費税)

自転車とろろん銭湯記

疋田 智

ハヤカワ文庫

2005年5月15日

2001年5月に朝日出版社から出された「銭湯の時間」を当時の取材を元に新たに書き直された1冊。各章の最後に「町田忍博士の蘊蓄コラム」が付いている。文庫化にあたり加筆されることはよくあるが、前編にわたり書き直されているのが特筆すべき点である。前作との印象の違いは4年間で著者がやや銭湯マニアっぽくなったというところか。プロローグの一言目「今しかないのである」。という言葉は、消えゆく銭湯文化を惜しむマニア視点だと思う。¥580-(+消費税)

フィールドワークへの挑戦
     -<実践>人類学入門

菅原和孝編

世界思想社

2006年4月30日

京都大学総合人間学部の授業「社会人類学調査演習」で学生が作成したレポートをもとに人類学をフフィールドワーク的手法から解説。第一部ではレポートを元に菅原教授が人類学的思考をレクチャー。第2部では優秀なレポートを採録している。第2部の佐藤せり佳さんによる、女風呂における常連さんの行動を定点観測した「銭湯の行動学」は、銭湯を学術的視点で捉えた貴重な内容で非常に興味深い。粘り強い取材(データ収集)に頭が下がる。¥2,300-(+消費税)

銭湯遺産

町田 忍

戎光祥出版

2008年1月10日

銭湯研究の第一人者である町田忍さんが30年にわたって記録した全国津々浦々の銭湯から100軒を収録。まさに町田忍さんの銭湯記録の集大成ともいうべき1冊。収録された銭湯の中に廃業されたところも多く、現存しているところも早く行かねばという気になる。京都からは船岡温泉、白川温泉、錦湯、藤森湯(廃業)が収録されている。銭湯関連文献に「京都極楽銭湯案内」を含めてもらっておりとても光栄です。¥5,800-(+消費税)

らくたび文庫No.26
京の銭湯 本日あります

林 宏樹 文・編集
田村和成 写真

コトコト

2008年3月26日

巻頭には、京都出身の銭湯好きマンガ家グレゴリ青山さんの銭湯愛を感じる書き下ろしマンガを収録。銭湯の案内役として登場している8人は、編著者が銭湯を通じて知りあったり、仕事先で銭湯話に華を咲かせた人で、制作にあたり「銭湯のためなら」と快く協力してくださった方ばかり。イラストレーター、カメラマン、デザイナー、編集者も全員銭湯好きという、まさに銭湯好きの、銭湯好きによる、銭湯の魅力に気付いていない人のための1冊といえる。¥476-(+消費税)

NHK 知るを楽しむ 歴史に好奇心
「あ〜極楽の銭湯史」

町田 忍

NHK放送出版協会

2008年10月1日

NHK教育テレビで4週にわたり放送された「知るを楽しむ『あ〜歴史に好奇心』」のテキストブック。番組に沿って第1回「銭湯前史 それは仏教から始まった」、第2回「銭湯誕生 お江戸に咲いた浮世風呂」、第3回「銭湯維新 文明開化のお湯が沸く」、第4回「銭湯完成 極楽銭湯よ永久に」と構成されている。この番組はNHK京都放送局制作で、2回分は白川温泉をスタジオに収録が行われた。ワタクシ林も資料協力のほか、テキストにコラムを寄稿しています。¥650-(+消費税)

ザ・東京銭湯

町田 忍

戎光祥出版

2009年2月5日

第1章では、「レトロ」「モダン」「露天」に分けて町田さんのオススメ銭湯7軒を紹介。2章ではこの本の核心部分である厳選した東京の超レトロ銭湯24軒を紹介し、第3章では新世代銭湯も紹介している。4章では銭湯にまつわるよもやま話も加え、この1冊で東京の新旧銭湯の魅力を存分に味わえる内容となっている。写真も豊富で東京銭湯の特徴である視覚的遊びがよくわかるので、京都や関西の銭湯と比較するのも興味深い。¥1,429-(+消費税)

NHK 美の壺 銭湯

NHK「美の壺」制作班編

NHK出版

2009年2月25日

谷啓さんをナビゲーターに放送された「美の壺 銭湯」の書籍版。この番組はモノに潜む「美」の鑑賞ポイントをナビゲートする内容だが、銭湯では鑑賞のツボとして壱のツボ「宮造りに風格あり」、弐のツボ「富士が奥行きを作り出す」、参のツボ「ワンダーランドの仕掛けを楽しむ」を挙げている。参のツボでは、京都の船岡温泉や大阪の源ケ橋温泉も紹介されている。個人的な番組の感想としては東京の銭湯が中心で、銭湯の多様性や地域性がいまひとつ伝わっていないと思ったが、こちらの本ではその部分がいくぶん補足されていた。¥950-(+消費税)

関西のレトロ銭湯

町田 忍 監修
松本 康治 写真・文

戎光祥出版

2009年5月15日

初の関西の銭湯を紹介するガイド本。タイトル通りに渋銭が並び、レトロ銭湯好きにはたまらない一冊。各銭湯の紹介に留まらず「徹底比較! 大阪銭湯vs京都銭湯」など、銭湯文化の違いを取り上げているところが秀逸。関西を大阪、京都滋賀、奈良兵庫和歌山に分けて40数軒を紹介している。京都からは、船岡温泉、桜湯(福知山市)長者湯、柳井湯、桜湯(上京区)、柳湯、宝湯、若の湯、錦湯、白川温泉、日の出湯の11軒が掲載されている。¥1,500-(+消費税)

群馬伝統 銭湯大全

抜井 諒一

クレインダンス

2010年2月25日

ウェブサイト「めっかった群馬」の「とっておき探訪」に2008年5月から翌年12月まで連載された「群馬路地裏銭湯記」に加筆修正し自主制作された1冊。群馬県全域の30 数軒をオールカラーの写真もたくさん使って紹介している。地図もあり銭湯めぐりのガイド本としても親切な編集となっている。素朴な地方銭湯の趣あるところばかりだが、ペンキ絵やタイル絵などで東京の影響を色濃く受けているところが興味深い。埋もれていく地方銭湯の姿を捉えた資料としても大変貴重な書籍だと思う。¥952-(+消費税)

京都極楽銭湯読本

林 宏樹

淡交社

2011年4月1日

京都新聞木曜夕刊で2006年に連載した「洛中洛外おふろ噺」を大幅に加筆修正した原稿に加え、モザイクタイルの故郷の多治見や京都の泰山タイルなどを追加取材した内容も盛り込んだコラム集。昭和30年代の暖簾図案や、明治、昭和初期の貴重な古写真も収録。「データで読む京都銭湯」では人目に触れることのなかった資料も駆使して現状の銭湯を読み解いています。巻末には軒数がピークだった昭和39年の京都府下の浴場名簿も付録として収録しています。¥1,400-(+消費税)

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